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化身―カフカ―

 理性というネジが外れる。それは俺の中にある理性がゆっくりと壊れ出す合図の証。あいつが触った所から腐り始めて心と精神を浸食して犯していく。  じっくりとゆっくりと、それは次第に全体に回り。俺という人間を別の生き物(淫乱)に変える。そして軋みだす狂気と紙一重の「快楽」と「快感」にこの身は奮える。あいつの支配は俺の脳と体を蝕み、徐々に変えていった。それはまるで、グレゴールに出てくるカフカのように、俺もまた別の姿に化身しようとしていた――。 「さっきから貴方ばかりイっても楽しくないので、俺もイカせて下さいよ。葛城さんなら出来ますよね?」  そう言って阿川は指先で俺の顎を上に向けた。その屈辱感に体は震えるとカッとなりながら言い返した。 「す、好き勝手ばかりだな…! お前が俺を無理やりイカせたくせに、何で俺がお前をイカせる手伝いをしなくてはならない!? 人を変態呼ばわりする癖に、お前は一体なんだ!? そっちこそ変態だろっ!?」  ムキになって言い返すとアイツは沈黙した笑みを浮かべた。その笑みはどこか狂気すら感じた。その表情に体はゾクッと寒気を感じた。 「ふふふっ、やっぱり貴方はそう来なくちゃな――。強気の上にごう慢でプライドの塊みたいな貴方を力づくで言う事きかせたらどうなるのか、ますます楽しくなってきました。貴方に拒否権なんてのはありませんよ。だって貴方は今、俺に強姦されているんですから当然ですよね。それを忘れましたか?」 「阿川貴様っつ!!」 「俺はですね、こう見えて貴方に拒絶されればされる程燃えるタイプの男なんです。貴方が泣きながら嫌がってもそれは逆効果になります。俺はそんな貴方を征服して支配して、自分のものにさせてみせますよ――」  阿川は目の前でそう言い返すと、ふと不適に笑ってみせた。その言葉に体が急にカッと熱くなると、身体中がゾクゾクした。そして奴は俺の目の前でズボンを下ろした。  その瞬間ゴクンッと息を飲んだ。今から何が始まるのかは見当はついたが、それ以上さきを知るのが怖かった。 ゾクゾクするような震えは、次第に俺の中で一気に高まっていくのを感じた。  今から何が起こるのか知るのが怖い。だが、その先は容赦なく訪れた。あいつは履いてるズボンを下ろすと、俺の前に立って自分の反りたったアソコわざとらしく見せてきた。俺は思わずゴクンと唾を飲んだ。 「葛城さんなら出来ますよね――?」 「っ…!」  アイツのその言葉に、体は火がついたように熱くなった。目を反らして顔を背けると、あいつは俺の顔を真っ正面にクイッと向けた。

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