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激情。
阿川を会社の屋上に連れ出すと、沸き上がる怒りを露にしながらアイツに問い詰めた。
「お前どういうつもりだ!? 今朝早くに課長に退職届けを出して、俺に挨拶も無しに黙っていなくなる気だったのか!? それも俺が来る前にだと……!? お前ふざけてるのかっ!!」
溜まっていた感情を爆発させると握った拳をグッと奮わせた。アイツは俺に問い詰められると黙って視線を反らした。
『目を反らすな、俺の方を見ろっ!!』
そう言ってアイツのYシャツを両手で掴んだ。怒り狂う俺とは逆に冷静だった。今にも殴りそうな気持ちを抑えるのがやっとだった。するとアイツは目の前で、ふと静かに笑った。
「お前、何がおかしい…――!? 言いたい事があるならハッキリと言ったらどうだ!?」
抑えていた感情を剥き出すと、その場で大きな声で怒鳴った。
「俺が辞めなくても、葛城さんは辞めてましたよね――?」
「なっ……!?」
アイツのその言葉に心臓が一瞬、ドキッとなった。何故その事をと知っていると聞き返す暇もないほど、その場で動揺した。アイツは俺が動揺すると真っ直ぐ見つめてきた。
「ほら、やっぱりそうだ。葛城さんは直ぐに顔とかに出過ぎなんですよ。見ていてもバレバレです」
「なっ、なんだと…――!?」
「……でも、こんな形で最後に貴方に会えるとは思いもしませんでした。俺はもう、貴方に会う資格なんてないですから」
「あっ、阿川……!」
その言葉に心臓がドキッとした。そして、アイツの掴んだYシャツを両手から離した。
「……阿川、何故そう思うんだ?」
「そんなこと自分でも解ってます。俺は貴方を卑怯なやり方で傷つけた酷い男ですから…――」
「ッ……!?」
「貴方に酷い事したから嫌われて当然です。いいえ、本当は葛城さんは俺に会うのも嫌なハズですよ。何せ俺は貴方を無理やり強姦した悪い奴ですから――」
その言葉に一瞬、あの日の夜の出来事を思い出した。体の自由を奪われて、無理やり拘束されてレイプされた記憶が甦った。するとたちまち身体中がゾクッとするような寒気を感じた。阿川のその言葉に否定は出来なかった。レイプされたのは本当のことだった。だから余計に沈黙したまま動揺を隠せなかった。無理やり抱かれただけじゃなく、精神的な苦痛と、屈辱と凌辱。そして、強引に体を暴かれ、それと同時に体に刻み込まれた快楽を知ってしまった。一瞬でも、あの記憶を思い出すと体は一気に熱くなった。急に身体が熱くなると隠すのがやっとだった。
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