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恋のスタートライン。
「隙だらけですよ葛城さん! 俺、言いましたよね。貴方を絶対に好きにさせて見せるって! だから、隙あらばドンドン攻めますからね!?」
「こっ、こいつ…――! 待て、調子に乗るな!!」
その言葉に再び顔が赤くなると、|怒り《おこ》ながら逃げる彼のあとを追った。阿川はそう言って悪戯に笑うと、落ちた箱を両手に持って非常口へと歩いた。
「じゃあ、こうしちゃあいられないな! 戸田課長に頭を下げてまたここで頑張って働こうっと! それに貴方の傍から離れるのは俺だって本当は嫌ですもん。だからここは、葛城さんの言葉に甘えますね?」
「阿川…――」
彼の言葉にふと呆れたように笑うと言い返した。
「ああ、そうだな。お前は俺のストーカーだしな?」
「ストーカーじゃありませんよ! 俺は貴方に純粋に片想いなだけです! きっと世界一貴方を好きなのは俺だけですよ!?」
「オーバーな奴。それで俺が喜んでいると思っているのか?」
「もー、ホントに素直じゃないな~!」
阿川は冷やかされるとムキになって言い返した。
「……しょうがないから俺も一緒に戸田課長に謝ってやる。だから感謝しろよ?」
「葛城さん有り難うございます…――! そのほうが俺も助かります!」
そう言って明るく返事をすると、彼の前でニコッと嬉しそうに笑った。その笑顔に思わず胸の奥がドキッとすると顔が赤くなった。
「阿川、お前それは反則だ! 年下の癖にそんな甘いマスクで俺に笑いかけて…――!」
「なんのことですか?」
阿川はそう言って言い返すとキョトンとした|表情《かお》で逆に聞き返した。
「もういい…――!」
「あっ、待って下さい葛城さん! 俺も一緒に…!」
「ついて来るな!」
怒った様子で背を向けると非常口の扉を開けて中に入って行った。そして、そのあとを彼が慌ててついて行った。こうして二人の恋はここから始まった――。
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