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その時、彼は――(阿川side)
俺がここに新入社員とし入って、そしてはじめて色々なことを教わったのが彼だった。葛城さんは、スーツなんかいつもビシッとしていて、仕事で一緒に営業周りとかもよく行った。
彼に怒られた時なんかもよくあった。だけど、そのあとちゃんと褒めてくれたり。俺が仕事でミスすると何も言わずにカバーしてくれたり。葛城さんのそう言った厳しくて優しいところが俺は好きだった。言葉には出さないけど、その何気無い彼の優しさに、俺は心から惹かれていった。
なのそんな大事な人を自分の身勝手な一方的な思いで傷つけてしまった。俺って本当にバカだ…――。
手に持った写真たて抱き締めると、そのまま眠りについた。そして次の日、全部が元に戻っていることを期待した。
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