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短編1〜彼に恋する日常〜

――今日は珍しく、夜まで遅くに残業をしていた。葛城さんは先に家に帰ったかな。スマホを片手にラインをチェックした。 ゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚ 《今日は夜飯、何にする?(〇-〇ヽ)クィッ》 《そ~ですね! カレーライスがいいです( ´∀`)》 《お前カレーは一昨日食べただろ~!他のにしろ、他だ!他!却下!(」#ロДロ)」》 《あれれ?そうでしたか?? じゃあ、ハンバーグが食べたいです!\(^o^)/》 《それカレーライスの前に食べただろーが!フン!!‾‾‾͟͟͞‾͟͟͞‾͟͟͞‾͟͟͟͟͟͟͞͞͞(((ꎤ ◉ᾥ◉)̂┌┛‾͟͟͞)`Д)、;'.・カハッ》 《はわわ、そういえばこないだ食べたような記憶が…!すみませんどうも記憶が最近忘れがちみたいで_(# _´ω`)_ペショリ》 《さっさと早く決めろ~決めないと今日の夕飯はレトルトにするぞ~!乁( 〇-〇)厂乁( 〇-〇)厂乁(   )厂彡クルックルッ》 《(´-`).。oO(今日の葛城さん可愛いなぁ。今すぐ抱きしめたい。》 《ニヤッ✧(□‿□-)》 《じゃあ、今日はミートスパゲッティでお願いします!》 《ほほう、ミートスパゲッティか、いいだろ。作ってやるから早く残業終わらせろよ。飯がまずくなるからな。(σ○-○)✧†クィッ》 《了! 早く残業終わらせて帰りま~す!!》 ゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚ ――葛城さんとLINEを終わらすと、さっさと残業を切り上げようと仕事に専念した。そして1時間後、ようやく残業が終わると足早に家に帰ってた。  マンションに帰って玄関を開けると「ただいま~!」と明るく声をかけた。だが、玄関でのお迎えは無しだった。「あれ? 葛城さんリビングかな…?」ふとドアの前で首を傾げると、靴を脱いでリビングに向かった。 「ただいま帰りました~!」  ドアを開けるとキッチンからはスパゲッティの美味しそうな良い匂いがした。だが、キッチンの中には、彼の姿は無かった。あれ? 変だな。ご飯はすでに作ってあるのに葛城さんの姿が無いぞ? もしかしてビールでも買いに行ったのかな?  不意にあたりを見渡すと、近くのソファーに足先が見えた。 「おや……?」  何気無く近づいたら彼はソファーの上に横たわってエプロン姿のまま寝ていた。一瞬、ドキンと胸が高鳴った。 ――ああ、やばい!  エプロン姿の葛城さんめちゃくちゃ可愛い…!!  寝顔も可愛いなんて反則だ!  まさにクーデレの極み!   ああ、やばいな!   今すぐ抱き締めてキスしたい!  でも寝てるから起こしたら怒られそう…――!  寝ている彼の側に近づいて寝顔をジッと見つめた。葛城さんは普段は怒りっぽい人だけど、無防備な時が一番可愛い……! 「ちょっ、ちょっとだけキスしても起きないよな…。でもキスしてる途中で起きたら怒られそう。やばいな、せめてオデコに…――!」  ジッと見つめてるとなんだかムラムラしてきた。「もうキスしちゃえっ!!」っと勢いに身を任すと、彼に襲いかかった。すると突然、ネクタイをグイッと掴まれた。そして、いきなり彼からキスをされた。 「ッ――!?」 「バーカ、帰って来るのが遅いんだよ!」 「かっ、葛城さん…――!」 「人を待たすとは良い度胸だ。まったく、人が寝てる所を襲うとは油断も出来ないな。お前って奴はホントに悪い狼だ」 「かっ、葛城さんこそ、いきなり俺に……!」 「たまにはこっちから脅してやらないとな。それに、お前がそう言う気になるのは、何もお前だけじゃないかもしれないぞ?」 「えっ……?」  その言葉の意味に顔が赤くなると再び胸がキュンと高鳴った。どうしてだろうか、彼のその一言に1日の疲れも吹っ飛んでしまうくらいの幸せを感じた。平凡で在り来たりな恋人同士の恋愛を彼に恋することで、こんなにも胸が幸せいっぱいの気持ちに満たされた。きっとこれからもずっと貴方とーー。 「ただいま葛城さん……!」 「ああ、おかえり慶介!」  抱き締めあいキスをして、俺達は愛を確かめあった――。 END

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