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夜、広瀬はサブシステムのタブレットにその日の情報を入れていった。クルーズ船の情報も一緒に見てみる。あの技術書の出版社はクルーズ船には乗っていないと言っていた。同名の他社と言う可能性はもあるだろう。それは別に調べよう。
情報を整理し終わると、今後は、竜崎に見せてもらった近藤の名刺情報も入れ込む。大井戸署には情報は全て提供していると竜崎は言っていたが、どこに行ってしまうのか広瀬のような末端まではくることがない。
だから時間があるときにコツコツ名刺情報から各社のホームページを見て企業概要などを整理していっているのだ。サブシステムの地図や会社の代表や取締役情報を組み合わせるともしかすると何かがわかるかもしれない。
ほとんど期待せず関連情報がわかるようにセットしていると、タブレットが意外なものを示してきた。
今日行った技術書の会社の絵とよく似た絵の画像がでてきたのだ。近藤の名刺情報にある会社のホームページだ。その会社はオールシステムというどうでもいいような名称の会社で、お店の情報システムの会社だった。
ホームページのトップ画面は楽しそうにお店で働く若者のイメージ写真だ。データに基づいた店舗展開とかなんとかかかれている。
社長の写真がある。あいさつがかかれている。社長の写真はおそらく会社の中のどこかで撮影されたのだろう。その背後に絵がかかっていたのだ。小さいので広瀬は気づかなかった。タブレットはこの絵が似ていると示してきた。頭がぐらぐらしそうな、色がはじけるあの絵だ。同じ作者のものだろうか。抽象画なんてみんな同じに見えるから無関係かもしれない。
会社の略歴、扱う商品の紹介、関連会社の情報。もちろんあの小さな古びた出版社と共通するものはない。
広瀬は、出版社の絵の画像と飲食店用システム会社の絵の画像を切り出した。
同じだとして、作者は誰だろう。そもそも、こんな絵はよくあるもので調べたって関係ないかもしれない。
そう思いながら、類似画像検索をしてみた。
すると、すぐに何点か同じような絵がみつかった。ニュースで取り上げられていたからだ。
「青キヨラ」という新進気鋭の作家の絵らしい。少し前、海外のオークションで非常な高値がついたといって話題になったらしいのだ。その作者の絵とよく似ている。
広瀬は、「青キヨラ」の情報とその絵をタブレットに登録した。
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