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手が残酷な力で性器をつかんできたのだ。痛みが全身をかける。身体を前に曲げそうになると、手が四肢を押さえ、逆に開かれた。
「やめ!」
性器をつかんだ手が、そのままになで、袋にも手をかける。ぞっとした。同じ力で掴まれたら。生理的な恐怖にとらえられる。
息をのんだ。
「やっと、おとなしくなったな」笑い声がする。
「おい、もっと足を開かせろ」
「こっちにも見せろよ」
大きく開かれ、膝をあげられると、奥まで視線にさらされる。
「ふうん」
感嘆の声がもれた。
「見事だな」
「こりゃあ、、、が、夢中になるわけだ。顔が整ってる奴は、身体も整ってるってことか」
「この肌、すげえな。すべすべしてる。10代の処女でも、こういうのはいないぜ」
「乳首は、ほんのり色がついてる。感じるとこっちもたつのか?」
身体を胸をなでまわされた。その間も、手が性器をもてあそんでいる。少しでも抵抗を示すと容赦なく握りこまれ、痛みが全身に走る。
「やめ、!」
「口のきき方を教えてやろうか」
「ついでに、下の口にも、教えてやってもいいんだぜ」
ぐるっと、身体を裏返しにされた。尻を割られ、指でたどられる。
「おい、背中」
真ん中位を指でおされた。
「これ、キスマークじゃないか」
嘲る笑い声がする。
「へえ」と男の息がかかる。「お盛んなんだな」
背中に一人がのしかかってくる。体重がかかった。
男は興奮しているようだ。肩にかかる息は荒く熱い。
次におこることを予想して、広瀬は震えた。平静になれ、と自分に言い聞かせる。
レイプされる。怖い。だけど、自分を失っちゃだめだ。そういうもののガタガタと身体の震えが止まらなくなる。
だが、そこに別な声がした。
「おい、お前ら、なにしてる」
冷たい厳しい声だった。
ふっと、背中の体重がなくなった。
「いや、こいつが、暴れるんで」
「ちょっと怖がらせてやろうかって」
若い男たちの声があせっている。
「身体をおこせ。座らせろ」と声は言った。「お前ら、この男をやったら、どうなるかわかってんのか?」
「すんません。そんなつもりは」
手が広瀬をひっぱりおこした。乱暴だが、傷つけようとするものではない。
指が確認するように、顔に、肩にすべる。
「怪我はしてないようだな」と声は言った。「かすり傷一つでもつけてみろ、指詰める程度じゃすまんぞ。こいつに突っ込もうとしてたお前のケチな持ちもんもぶった切られるぞ」
空気が委縮している。若い男たちは広瀬から離れた。
人の気配は消えない。広瀬はベッドに座らされたままだ。
どうやったら、逃げられるだろうか。考えを必死に巡らせた。
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