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「あのお前が縛られている写真をみてから、考えた。お前は危ない仕事をしている。いつ何時、俺のライバルやお前を使って儲けようと思っている奴に、同じように捕らわれて、いたぶられるかもしれない。だから、お前を守るために、お前の動きを知ることにしたんだ。毎日はできないが、定期的にな。そうしておいてよかった。児玉がお前を自分の店で捕まえたと知ったら、俺は本格的に抗争しなければならなくなる」 勢田は再度ビールのキーホルダーを手の中で転がした。 「あの店が児玉のだと知らずにあの店に行ったのはなぜだ?なんの事件と関係があるんだ?そもそも本当に捜査だったのか?お前は、仕事なのかなんなのかよくわからない理由で、一人でうろうろしていることが多いらしいな」 勢田は児玉がらみの捜査情報が欲しいだけなのかもしれない。 「帰してくれればそれなりに情報交換はする」 「情報交換って、このまま帰したら、その後、お前が俺に手紙でも書いて情報を教えてくれるとでもいうのか。お前から捜査情報が欲しいわけじゃない。警察の情報なんてお前以外からいくらでも入手できるからな。お前をここから帰すには条件がある」 「条件?」 「そうだ。まず、ひざまずいて児玉のところから助けた礼をいい、帰して欲しいと頼んでほしいな。そのためなら何でもすると言って。それから、ここで俺に抱かれる。今後は、定期的に時間を取って俺に会う」 広瀬は首を横に振った。「ありえない」 「彰也。お前は美しいが愚かだな。お前が拒否することはできない。このまま、縛って、ひざまずくまで責めることもできるんだぞ」 平板な声でそういわれた。勢田はおもむろに足を組んだ。 その動きに広瀬は反射的にベッドの端に手を置く。触れられそうになったら、反撃するか、それとも、途中まで我慢して隙を狙うか。 「そんな顔をして、じゃあ、どれか、だったらどうする?選ばせてやろう」 「え?」 「ここで俺の前にひざまづくのと、抱かれるのと、定期的に時間を取って俺に会うのとでは?」 広瀬は混乱した。からかわれているのだろうか。相手はヤクザだ。ペースに飲み込まれてはだめだ。 「簡単な選択だろう」 「選べばここから帰す?」 「もちろん」 「どれも、ありえない」と広瀬は答えた。「そもそもこれは監禁で犯罪行為だ。条件を提示するなんて間違っている」 勢田は喉の奥で笑った。「お前は愚かで、わがままだったんだな」

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