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4.優しい愛撫※

テオドールが軽くレイヴンの額にキスを落とすと、レイヴンは信用できないという顔でテオドールを見上げた。 しかし、その言葉通りにレイヴンに覆いかぶさると。 テオドールは恋人との行為と同じように、レイヴンのことも優しく愛撫し始める。 髪を撫で、頬を撫で、薄く笑って軽くキスを落とす。 何度か唇に角度を変えながらキスを落としてから、少しずつキスをズラしていって。 喉仏、首筋、鎖骨、と煽るようにチュッと音を出して吸い付いていく。 最初は何ともないような顔をしていたレイヴンだったが、何度も繰り返されるキスの雨に。 じわりじわりと熱が移動していき、次第に吐息に熱が籠もってくる。 「…ぅ……」 「前も思ったけど、感じやすいよな。アレか?筋肉ねぇ分、敏感ってヤツか?」 「んっ…そこで、喋りながら……お腹、擽るの反則…うぅ……」 スルスルとレイヴンの上半身を露わにしていくと、白っぽい肌が少ししっとりとしてきている。 肋が浮くほど痩せている訳でもなく、スッと一筋の線があり。筋肉らしい筋肉はないが、 これでも鍛えていると言っていたことをテオドールは思い出して耳元で嗤う。 擽ったそうに身体を捩るレイヴンをキスで宥めながら、服を脱がせていく。 自分の身体を見られることが嫌いなレイヴンは、テオドールの視線に耐えられずに顔を逸らす。 「いいじゃねぇか。綺麗な肌ってヤツだろ?顔だけじゃなくて身体も綺麗とか思っときゃいいだろが。 そんなに恥ずかしがんなよ」 鎖骨に軽く歯を立てると、ビクンと身体が硬直する。されるのは慣れていないのか、 自分の腕で顔を隠して、必死に息を逃している様子がテオドールの嗜虐心を呷る。 「…くぅ……っ…跡、残したら…ホントに、ころ……ひゃっ!?」 「ったく、もうちょい色気を出してくれや?立たねぇっての。全く、脇腹もかよ。やたら擽ったがりだよな」 「んんっ……舐めなくて、いいから…ぁ…ザラザラ…する、し…」 表面を撫でるように触る度に身体が跳ねて、その度に声を我慢している様子が愉しくなってきたテオドールは、 敏感な場所には触れずに、ねちっこく暫く撫で続ける。 擽りに本当に弱いのか、肌を撫でる度に、過敏に身体が反応してプルプルと震えている。 それだけで息も絶え絶えになってきたレイヴンが、懇願するように潤んだ瞳でテオドールを見遣る。 「も…やめて……擽るの。何か、変になりそ……」 「やめていいのか?大分気持ちよさそうだけどなァ?でも、上半身だけじゃなくて。 下半身も可愛がってやんねぇと不公平だよな?」 言うと、腹に手のひらを滑らせて。ズボンをわざと時間をかけて下ろそうとする。 レイヴンはそれだけで、イヤイヤと首を振っている。手のひらがひたひたと腹に当たる度に、 荒い息を逃そうと必死になっていて、ジタバタともがいている。 「んなに、必死になって。あぁ、苦しいのか?まだ触ってないのにレイちゃんは元気そうだもんなァ?」 「いい加減に……んぁっ!」 底意地の悪さに言い返そうと口を開いたレイヴンだが、そこで焦らされていた己自身をいつの間にかズボンの間から 入り込んだ手に握られてしまい、声をあげてしまう。 自身の声の甘さにかぁっと羞恥心で顔が赤くなる。 「やれば出来るじゃねぇか。今のはなかなかイイ声だ。ま、これから啼かせてやるよ」 そう言うと臍に唇を落とし。一旦レイヴン自身から手を放すと、両手で一気に服を引き下ろす。 ベッドの下に投げ捨てられてしまい、改めてレイヴンの身を守るものがなくなってしまった。 緩慢にベッドの下へと視線を向けて改めて服がなくなった事実を目にしてしまい、 レイヴンは息を逃して少しだけ覚悟を決める。 それでも、怖さの方が勝っているのでどこか期待と不安が入り交じる表情をテオドールに向けた。

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