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32.気の合う者同士で

レイヴンが無事に復帰した後、討伐についての報告と復帰の報告を兼ねて王宮へと足を運んだ帰り道。同じく報告に来ていたらしいウルガーと出くわした。 「ウルガーも陛下に?」 「俺は大した報告はないけど、この前持ち帰ったサンプルも調べ終わったんだろう?それについての質疑応答とかって聞いた」 「確かに俺が休んでいる間に魔塔でも毒の成分について調査していたから。珍しく師匠がほとんどしてくれたから、俺も似たような質疑応答くらいだった」 そうか。と少々思案したウルガーが、ふ、と顔を上げて切り出した。 「そういや、レイヴン。今晩って予定空いてるか?」 「今日はやるべきことはほとんど終わったし、師匠も今日こそは羽を伸ばすとかなんとか言ってたから、どうせカジノか酒場に行くだろうし……空いてるよ」 語尾にいくにつれ不機嫌そうな声色になるレイヴンに笑って、肩をポンと叩く。 「じゃあ、後で。飯でも食いに行こう」 「分かった。いつものところで落ち合おう」 +++ ――――お互いに身体が空き、夜に差し掛かる時間帯。 街へ繋がる城門前が2人で外出する時のいつもの待ち合わせ場所だ。 騎士服ではなく気軽な服に着替えてきたウルガーが、先に待っていたいつものローブ姿のレイヴンに駆け寄った。 「お前は何かいつも同じ地味な格好してるよな」 「便利なんだよ、ローブ。防寒着代わりにもなるし、魔力(マナ)の節約にも繋がるし。魔法使いはいかに楽するか、だろ」 「そんなもんか?俺は剣さえあればいいけどな。どこで食う?」 「そうだな……師匠がいなそうなところで」 その言葉を聞いて、ハハ!と笑うがいつものことなのでウルガーもはいはい、と受け流す。 「じゃあ、最近俺たちの間で人気の店でいいか?安くてたくさん食えるから結構通ってるんだよな」 「分かった。案内よろしく」 ウルガーの案内で街中を進んでいく。途中途中、お互いに街の人々から声を掛けられることも多く、会話をしながら目的の店まで辿り着いた。 「相変わらず人気だな。さっすが美形魔法使いさん」 「そういうウルガーも、街の人たちと随分仲がいいんだな」 「この街の人たちは人懐こいし、王宮勤めの人たちも一部を除いて身分関係なく接してるよな。敬意は払われてるし、だからといって変に畏まってなくて俺は好きだけど」 「無礼って思ってるのは貴族の一部だし、礼儀が全くない訳でもないから、俺も好きだよ。この街と、この街の人たちが」 微笑んで、ウルガーと共に扉を潜る。 この店は酒場のようだが、酒より料理を頼んでいる様子が目立ち、テーブルいっぱいに湯気をあげた料理が並んでいる。 「確かに……お腹いっぱいになりそうだ」 「だろ?肉料理は特に絶品だからオススメ」 「そうなんだ。じゃあ、注文も任せた」 「りょーかい」 席に着けば、慣れた様子でウルガーが注文を済ませていく。 「なぁ、少しは酒飲むだろ?」 「まぁ……少しだけなら」 「俺は普通に飲むけど、レイヴンは無理すんなよ」 「そもそも、そんなに飲めないし」 苦笑しているレイヴンに楽しげに笑いかけながら酒の注文も済ますと、レイヴンの方から改めて話を切り出す。 「ウルガーには礼も言えてなかったな。心配かけてごめん。俺も色々と緊張してたから、ウルガーに任せきりの部分も多くて、討伐の時のこと色々と言われただろう?」 「あー……お互い様だし。っていうか、レイヴンは良くやってただろ。むしろ、俺が怪我を負わせたってので、落ち込んでたっていうか」 「そうなのか?」 レイヴンが不思議そうに首を傾げると、少々苦い表情をしたウルガーが到着したビールのマグを手に取る。 「その話をちょっとしようかなと思って。あとついでにテオドール様と最近どうなのか?とか?」 「……前半は真面目そうな話なのに、後半はどうでもいい……けど、元々相談持ちかけたのは俺だから、そっちも話すよ」 「ま、どっちにしてもお疲れさんってことで」 「まぁ……そうか。お互いに、お疲れ様?」 マグを突き合わせて互いを労い、まずはウルガーから話を始める。

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