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41.自らの手で懲罰を

※少々暴力的・残虐な描写が含まれています。苦手な方はご注意ください 手のひらに魔力(マナ)が収束すると鈍く光り、現れた緑の靄が牙の形を持ってヨウアルへと襲いかかる。 「――――毒の牙(ヴェノムファング)」 「グッ!?……ガッ、ァァ……」 毒牙はヨウアルへと深く突き刺さり、凍りつく身体にさらなる負荷を重ねていく。息もできず、だからといってすぐに死ぬこともできず、生き地獄のような状態に腕だけがブルブルと震えて助けを求めている。 「苦しいか?お前と同じくらいアイツも苦しかっただろうぜ。自分で心臓まで止めてたからな。お前も止めてみたら楽になれるだろうに。まぁ……魔法を唱える余裕があれば、だが」 「ハ、ハヒ……ヒィィ……ッ……」 「なぁ、どこの誰と取引したんだ?言ってみろよ」 「知ら、ない……闇の、魔物……ググ……」 毒は身体を巡り、口から泡を吹いて激しく痙攣し始める。それすら無視をしてテオドールは尋問を続ける。 「闇の魔物使い?聞いたことないが、そんなヤツと簡単に連絡が取れるとは思えねぇが、お前にそんなパイプがあるとでも?」 「あの、方……ガ、ガガガ……」 「あの方?おい、誰のことだ」 「……さ、ま…………――――――」 「……チッ。くたばるのが早い。――――まぁ、いい。そういうのを調べるのは影の仕事だしな」 ギョロリとした目は血走っており、気づけばヨウアルの全身が氷に覆われて凍りついている。苦悶に満ちた土気色の顔は、人間とは思えないほどに見るに堪えない。 「汚ねぇ、氷像だな。………風の刃(ウィンドカッター)」 スパ、と。首を切り落とす。 凍らせておいた身体からは血飛沫が飛び出すこともなく、ゴトと音を立て、裏路地に首が転がる。その首と身体を追加の魔法で完全に凍らせてしまうと、黒の布で包み土産のようにヒョイと持ち上げた。 「ぁー……持ちたくねぇ。後始末はやらせていいよな。面倒臭ぇ」 テオドールは空間に掛けておいた魔法を解いて、裏通りに姿を現した。自分の側に寄る僅かな気配を感じ、斜め後ろの暗がりに向けて声をかける。 「お前、陛下の影だろ?俺の後をつけてくるとは、陛下も心配性だな。後始末は面倒だから任せていいか?それと……これは陛下に。俺からの手土産だと伝えてくれ。コッチが証拠の魔法具だ」 「――――御意」 影はテオドールの持っていた黒の包みと道に転がる死体を拾い上げて、また闇に溶け込んでいく。 「胸糞悪ぃ、が。ひとまず――ケジメはつけたな」 苦虫を噛み潰したような顔をし、煙草を口に咥えて火を付ける。 「ぁー……不味い。こんなに美味くねぇ煙草もねぇわ。さっさと戻って俺も癒やしとやらを頂こうか。俺の可愛い弟子に」 何度か吸い込むが普段より早めに煙草を地面へと投げ捨て、マントを翻し裏通りを抜けていく。

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