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46.似た者同士※
「認めたくない、し……こんな一方的な……あぁっ、っ…」
「身体はいっつも素直なのになァ?俺も甘い戯言を言うの、得意じゃねぇんだよ」
「気持ち悪いし、言わなくてい…っ!?」
テオドールがグッとレイヴン自身を握りしめてしまうと、レイヴンが顔を顰めて視線を向ける。
「失礼だな。睦言は得意だから安心しろ」
「別に、どっちも求めて、ない……んむぅ…」
あやすように唇を重ね、何度か擦って刺激を与えるが決して達することはさせずに、ピタリと動きを止めてしまうともどかしげにレイヴンの腰が揺れる。
「お強請りは?」
「……――」
耐えるように首を振って拒否を続けるレイヴンに、テオドールも握りしめたまま後孔に指を入れて中からさらに刺激する。
「ぁ、っく…ぅ……」
「そんなに頑なに拒否するのは、俺のせいか?参ったな」
「ちが……ぅう……んっ…」
与えられる刺激には逆らえず、中と外からの刺激に耐えられずに押さえつけられたままビクっとレイヴンの身体が跳ねた。
「そこまで虐めるつもりじゃなかったんだが……」
額に手を当ててぼんやりと天井を見ているレイヴンに対して、悪かったよ。と普段より優しい声色で謝ると漸くテオドールを視界に捉える。
「……好きに、したらいいじゃないですか。別に」
「プレイとしては悪かねぇけど、お前を怒らせたい訳じゃねぇからさ」
お詫びと言わんばかりに、テオドールがレイヴンをパクリと咥えると流石に焦ったレイヴンが身体を起こす。
「な、何を……んなこと、しなくていいから…ぁ」
テオドールの頭に手を伸ばして引き離そうとするが、力が強くてどうにもならず。先程から刺激を待っていたせいで、口全体で刺激されてしまうと堪らずに喉を反らす。
「あぁっ!……も、ホントに、離して……んぁぁぁ!」
意思とは関係なく、焦らされていたものが弾けてしまうと、そのままビクビクとテオドールの口の中に吐き出していく。
「……美味くはねぇな。やっぱり」
「当たり前でしょう!……意味分かんない、し……」
ニィと笑うテオドールに羞恥心が湧いてきて、離れて!と両手で顔を押しやろうとする。
「なんだよ、冷たいなぁ」
「怒ってません!怒ってません、から……」
「怒ってないなら、何だよ」
「……本当に嫌だったら、もっと拒否します。認めたくないから、嫌だ、と言ったんです」
レイヴンは赤い顔をしながら、テオドールの両頬を掴んでジィと見つめる。
面白そうに言葉の続きを待っている様子に、腹立たしく息を吐き出す。
「言いたくはありません、けど……俺、師匠にこうして触れられるの、嫌じゃない、です。何されてもいいって訳じゃ、ないですけど……ある程度だったら、です」
「ある程度、ねぇ?」
「だから!無理矢理とか、しなくても……って。聞いてます?」
「ふぅん?もしかして、デレたか?」
「デレてません!」
頬を抓り、テオドールに微々たる攻撃を繰り出していると急にむくりと起き出して、レイヴンを抱きしめる。
「な……」
「そうかそうか。それは、告白ってことか?」
「ち、違いますよ!どこをどう聞いたらそうなると……」
「いやぁ、素でデレてくれる日が来るとはなぁー」
「だから、デレてないって言ってるでしょうが!」
赤くなっている耳にチュッと唇を落とし、ふぅっと息を吹き込んでから。追撃でテオドールも言葉を吹き込む。
「心配しなくても、最初からお前のことは気に入ってるから。妙なこと気にすんなよ?」
「……は?」
耳を押さえたレイヴンがポカンとしていると、今度は優しく口付ける。
「ホント、お前は察しが悪すぎるんだよなァ?周りの奴は全員気がついてるってのによ」
「言っている意味が、分かりませんけど……」
「まんまの意味だよ。いつも言ってるだろ?お前は俺の物だって。それでも分からねぇなら、今日は分かりやすく言ってやろうか?」
「いや、それは……師弟関係のことで……」
レイヴンが言葉に詰まっていると、テオドールが可笑しそうに吹き出す。何?という顔を向けるレイヴンの頭を撫でながら、しょうがねぇなぁー、と。普段より優しく笑いかけた。
「だから、ずっと俺の側にいろって意味だよ。師弟関係もそうだが、もっと深い仲でもな」
「……え、え……?」
「遊びも含んでるのは否定しないけどよ、なんつーか。放っておけねぇし?嫌なんだよなぁー。他の奴に構われるのも。でもまぁ、好き勝手してるのは俺だけか」
「ま、待って待って。どういうことですか?何、師匠こそ、デレた……?」
事態を把握できていないレイヴンの頭をポンポンと言い聞かせるように撫でる。
「デレたって何だよ。まぁ……ヤってから意識して構ってた気はするけどな」
「言い方!まさか……本当に気づいてないの、俺だけ……?」
「他のやつもそう言ってたんじゃねぇの?お前は好かれることに関しては異常に鈍感だからな。様子見してたんだが、やたらと意地張るからなぁ」
「それはそれで、恥ずかしいんですけど……」
どうしていいか分からない表情をしているレイヴンをあやすように何度も撫でて、分からせるように唇を重ねる。
「ぅ……」
「なぁに恥ずかしがってんだよ。さっきの方が恥ずかしいだろうに」
「どっちも恥ずかしいですから!」
「デレの次は照れか?忙しいなァ?」
やたらと初々しい反応を示す様子に、テオドールも満足げに何度も頷く。
ひとしきり撫でると、大欠伸をしてゴロリとベッドへと寝転がる。
「俺が優しく折れてやったんだから、お前ももうちょっと素直になってくれてもいいんだけどな。おこちゃまだから荷が重いか?」
「お子様ですみませんね!……分かりましたよ、言いますよ。言うつもりなかったのに……」
レイヴンは寝転がるテオドールの隣にズズと移動して、長く息を吐き出した。
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