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51.食事の後
ゆっくりと後片付けをしている間も、テオドールは残っている葡萄酒を嗜んで居座っていた。食器を洗い終えてもまだ飲んでいるのを見て、側に寄って声をかける。
「テオ、まだ部屋に戻らないんですか?まさか……本気で今日中に2本目開ける気ですか?」
「いや、これはまた今度に取っておく。それより、終わったならこっちに来い」
手を引かれてテオドールの膝の上に座らされる。グラスを持っていた手はレイヴンに回されて、ギュっと抱きすくめられる。
「明日もまだ作業残ってますよ?そろそろ戻らないと……髭、チクチクするんですけど」
首筋に顔を埋められているせいか、テオドールが吐く息が熱く擽ったい。
葡萄酒の香りも強く、香りで酔ってしまいそうな気がしてレイヴンもじっとはしているものの、どうしようかと様子を伺う。
「ぁー……気分がイイからもうちょいこのまま、な」
「はぁ。明日起きてくれるなら、いいですけど……今日はテオの方が身体が熱いです。やっぱり葡萄酒のせいかな?」
「そうかもなァ?嫌がらないで逃げないレイが可愛いから、手放したくねぇんだよなー」
「……恥ずかしいこと言わないでください。もしかして見た目より酔っ払ってます?」
顔を覗き込もうとすると、テオドールにさらに抱き込まれて唇を塞がれる。吹き込まれる息はやはり葡萄酒の香りが濃く、普段よりも頭がクラクラとしてくる感じがして少しだけ抵抗を試みる。
「……逃げんなよ。今日は無理にヤったりしねぇから」
「んっ……その、葡萄酒の香りが…凄くて。俺が酔ってしまいそうなので……」
「成程なぁ。まぁ、それはそれで?イイ気分のお裾分けってことでな?」
口元だけで笑って、深く口付けるとレイヴンの口内を探って絡め取っていく。葡萄酒の香りも相まって、レイヴンの抵抗はすぐに弱まっていき、テオドールに身体を預ける。
「んんっ、ぁ……」
「確かに、こりゃあ効くかもな。いつもより……」
「……だ、ダメ、ですって……も、クラクラ、してきた……ぁ…」
レイヴンがギブアップしたところで唇を一旦離す。赤い顔が伝染したのが妙に嬉しくなり、ペロと唇を舐めて、何度か啄んでいく。
「ヤバ、気持ちイイよなァ?レイ……」
「んぁ…っ……テオ、めちゃくちゃ、酔ってる……?ぁ、ぁふ……息、吹き込んだら、酔っちゃう、から……」
「あぁ、大丈夫だって。でも、アレか。念のため、移動しとくか」
レイヴンを抱きかかえ、フラフラしながらベッドへと向かって2人で倒れ込む。倒れ込んでもテオドールが抱き込んで密着し、何度もキスを繰り返す。
「テオ……?ここで、寝る、つもり……ですか?」
「あー……何か、帰るの面倒臭ぇ」
「別に…ぃ、構わない、ですけど……ン、…っ……狭い、ですよ?」
「そうだったな。まぁ……これだけくっついときゃ、イイよな?」
ギュウとさらに力を込めると、苦しいし、と両手で胸をついてレイヴンが少しだけ距離を取ろうと試みる。が、テオドールは額や、髪に、キスの雨を振らせながら全く離そうとしない。
「…っ……くす、ぐったい……これ、眠くなるかな……ぁ」
「ぁー……そのうち、眠くなるだろ。優しさで、キスだけにしといてやるから」
言いながら、テオドールが跡を付けようと吸い付いてくるので必死に剥がす。
「も、便乗して、吸い付かないで……んー――」
「……ホント、気にし過ぎ、なんだよなぁ?あー……耐えられるか、コレ」
「誰のせい、ですか。誰の。も、俺……目を瞑ります、から……」
目を瞑るレイヴンの瞼にも容赦なく唇を落とすと、吐息を漏らしてテオドールにしがみついて耐えようとする。その行為でさえ、この先を我慢するにはなかなかキツイものがある。
「ぁー……ダメだ。確実に、ヤりたくなる」
「聞こえない……聞こえない……んぁ、…あ、ダメ、擦ったら……」
レイヴンの声色は段々と甘さを増して、耳からもテオドールに刺激を与えていく。嫌がり方が確実に前とは違うことが分かり、テオドールも理性のタガが外れていく。
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