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52.葡萄酒の余韻※
諦めたテオドールは、レイヴンの耳元で一方的に宣言する。耳元の吐息も熱く、レイヴンの心をじわじわと溶かしていく。
「煽るなよ、これでも耐えてるんだよコッチは。あー…クソ。1回だけにするから、もうヤるぞ?異論は認めないからな」
「え……待って、今日はしない、って……あ、あぁ……ちょっと、服……あぁぁぁっ!?」
服をズラし、性急に己を突き入れると、レイヴンが堪らず声を上げる。痛がりもせずに健気にテオドール自身を受け止めているのが分かり、後頭部を何度も撫でながら動きはいつもよりゆっくりと動かしていく。
「悪ぃ、やっぱ堪え性がねぇみたいだ。無理はさせないようにする」
「もっ、嘘つき……でも、俺も……あんなにキス、されたら…我慢するの、大変だった……」
「じゃあ、お互い様っつーことで?」
もう一度、優しいキスを落とすと密着したままゆるゆると動き始める。レイヴンも離れたくないのか足を絡めて、テオドールの動きについていこうとする。
「んぁっ……テオ…何か、やっぱり……ふわふわ、する……酔いが、絶対移った……っぁ、あんっ――」
「そりゃあ、悪かったなァ?俺も葡萄酒は、久しぶりだったからな。あぁ……ホントに、イイ気分だ。なぁ…レイ、気持ち良いか?」
「あ、あぁっ、今、ズンって……ソコばっかり、も……その、質問。答えないと、ダメ?」
「ダーメ。ほら、早く終わった方が、イイだろ?」
グリと奥深く突き上げると、一際甲高く哭いて許しを乞うように、テオドールに抱きついてくる。
「分かった、…ぁ、分かった、からぁ……テオ、気持ち……良い。ソコ突かれると、やっぱり……も、ダメ……だから、ぁ……」
「あぁ。素直なレイも、嫌がるレイも、見てて飽きねぇな」
はぁと熱い吐息を逃し、テオドールをぼやける視界で捉える。優しい顔が見えた気がして、レイヴンも微笑して頬を寄せる。
「ん……本当は、凄く恥ずかしい…けど。慣れてきた自分が、もっと、恥ずかしい……から。でも……テオだけ、だから……いい、ですよね…?」
「誰がこんなお前を他のヤツに見せるかよ。安心して、もっと素直になればいい」
キツく鎖骨を吸い上げて、レイヴンに所有印を付ける。色づく赤に満足げな笑みを浮かべると、少しずつ動きを早め、最奥をコツンと突き上げる。
「んぁぁぁっ!……はぁ……深…ぁっ…」
「そろそろ、仕上げといくか……ック、おっまえ。絞り、すぎ…」
突いたと同時にレイヴンが中を締め上げ、テオドールの動きを妨げる。中全体が蠕動して射精を促すが、先にイク訳にはいかないという意地で何とか踏みとどまる。
「テオが、ぁ…先に、突いたから、ぁ…ぁぁ……っぁああ」
「危なっ……はぁ、油断も隙もねぇ。大人として、イカせてやらねぇと、な」
グッと腰を押し進め、密着したまま何度も突き上げて高みを目指す。レイヴンも快楽に耐えようと、テオドールの肩に爪を立て何度も声を上げる。
「あぁぁっ!も、無理…ぃ……テオ、一緒に……」
「……あぁ、イクぞ。レイ」
肌と肌が打ち合う音が響き渡り、何度目かの突き入れでレイヴンの全身が硬直する。同時にグッと最奥へと叩きつけ、テオドールも己を開放してドクドクと激しく注ぎ込んでいく。
「っ、ぁぁああああ!!ぁ……っ…――――」
「――く……」
先に力が抜けたレイヴンが手を離してクタリとベッドへと横たわる。ゆっくりと自身を引き抜いたテオドールもレイヴンの目から流れ落ちた涙を舌で掬い上げ、息を吐き出すと緩慢にベッドへと横たわる。
「ぁ、……んっ…熱…っ……」
「ぁー……少し、クラっときたな。あちゃあ、思ったより出てるか……仕方ねぇ、便利な魔塔主様がこんな時でも……」
額の汗だけ自分で拭うと、まだ熱さをもった吐息で詠唱し、汚れたベッドやお互いの身体は細かい霧状の水で洗い流し清めていく。ついでに温風までかければ、寝るに困らない状態へとあっと言う間に整えてしまう。
「こんな、時まで……便利屋さん、スゴすぎ……さすがすぎる、魔塔主様」
「はぁ……扱き使われてるみたいだが……さすがに睡眠もとらねぇと、マズイからな?」
クスクスと笑うレイヴンだが、偉い偉い、とテオドールの髪を梳いて撫でていく。
「お前なぁ……まぁ、いいか。さすがに疲れたな……寝る」
「俺も……おやすみなさい、テオ」
柔らかいキスで気持ちを確かめあうと、どっちが先に眠ってしまったか分からないくらいに2人ともすぐに眠りに落ちてしまった。
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