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83.泉の魔力に当てられて※
時は少し遡り――
レイヴンが去ってしまった後、煙草を吹かしていたテオドールは納得いかない表情でウロウロと歩き回っていた。
「……おい、テオ。ただでさえ鬱陶しいのに視界に入ってくるな。鍛錬の邪魔だ」
「いちいち細かいんだよ。そんなのを気にしてるようじゃ、大したことねぇな」
「俺に当たるな。レイヴンに冷たくされたからと言って不貞腐れるのもいい加減にしろ。大人げない。そんなに気になるなら謝ってくればいいだろうが」
「はぁ?何も悪いことなんてしてねぇのに、なんで俺が謝らないといけねぇんだよ」
フーっと煙を吐き出すと、つまらなそうに煙草を地面へと投げつけて踏み潰す。ディートリッヒが無言の圧をかけてきたので、仕方なく吸い殻を魔法で燃やしてなかったことにした。
「……レイヴンが心配だから行ってくる。どうせウルガーは、まだすやすや寝腐ってるし。構わねぇよな?」
「あぁ。妙なことを考えずにレイヴンを思いやってやるんだぞ。分かったな?」
「お前は俺の母親か!」
言い捨てると、レイヴンが向かった方向へとズンズンと歩いていく。
暫く歩き進めると、程なく川が見えてきたのだがレイヴンの姿が見当たらない。何かあったのだろうかと、辺りを警戒しながら川へと近づいて見ると、森の方へ足跡が続いているのが分かる。足跡の大きさや踏みしめられてすぐなことを鑑みてもレイヴンなのだろうと、テオドールも草を踏み分けて、奥へと進んでいく。
「お、これは泉か……?」
なるべく静かに近づいていくと、キラキラと光る水面が遠目に見えてくる。
そして、その中に朝日に照らされ、一糸纏わぬ姿で水浴びをしているらしい背中が視界に飛び込んでくる。
テオドールの気配に気付き、振り返ったのは間違いなくレイヴンだったのだが――
水に濡れて光る肢体が美しく、濡れた髪から落ちる水滴までも、テオドールには美しく思えた。
見惚れること数秒――
このままでは気づかれて逃げられると思い、瞬時に呪文を唱え、お得意の移動 で愛しい弟子の元へと一気に距離を縮めてそのまま抱きしめる。
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「んんっ!?ん……」
レイヴンは突然の出来事に驚いて抵抗しようとしたが、煙草の香りと触れる唇ですぐにテオドールであることに気付く。だとしても、自分は裸で、テオドールはローブのままで。ずぶ濡れになろうが関係なく自分の唇を貪っているこの状況に軽く混乱し始めた。
「んむぅ……っ、んーーっ」
「……っ、はぁ。ホント、お前は……」
少しだけ唇を離し、愛おしそうに頬を撫でると、抗議しようとしたレイヴンの唇を言わせないように再度塞いでしまう。
性急な口付けは、クチュ、クチュ、と水音を立てて、少しずつレイヴンを蕩けさせていく。侵入する舌に捕えられてしまうと、レイヴンもすがるように手に力を入れて、ただただ、この時間が過ぎ去るのを待つしかなかった。
「……んぁ、ぁ……んん…、っ…」
「レイ……」
口付けは自分の呼吸すら奪い去るほど激しいのに、テオドールの声色はなぜかとても優しくて。レイヴンは抗議することも忘れてそのまま一緒に行為に溺れていく。
「ぁ……」
「悪い、我慢できそうにない」
2人の間に伝う銀糸をぼんやりと眺めていたレイヴンだが、距離が離れると赤く染まった顔で荒い呼吸を繰り返しながら、コテン、と首を傾げた。
ペロ、とテオドールが銀糸ごと舐め取ると、口元だけで笑い、レイヴンを抱きかかえるとザブザブと泉の中を歩いて岩の上へと上半身を乗せて寄りかからせる。
「テオ……?何、して……?」
未だにぼんやりしているレイヴンを安心させるように撫でてから、テオドールも重たくなったローブをひったくるように無理矢理脱ぎ、レイヴンの身体が痛くならないようにと岩とレイヴンの間に差し入れる。
「この泉のせいなのか知らねぇが……今すぐお前が欲しい」
許可を得るためなのか、一応レイヴンの耳元に吹き込むとふわふわとしていたレイヴンも、え……?と呆けた声を出す。それが了だと受け取ったテオドールは、水の中でレイヴンの両足を持って広げ、後孔に己自身を一気に突き立てた。
「あぁぁっ!?」
「ちょっと、水が入ったか?」
嬌声というよりは驚きの声に近いような声が静かな森に響く。バシャバシャと激しい水音をたてながら、テオドールが荒い息を吐き出して注挿を繰り返す。耳に吹き込まれる熱い吐息にレイヴンがビクンと身体を揺らして答える。
「んぁ、あ、あぁぁっ!やぁっ……熱いのと、冷たいの、両方きちゃ……」
「……そうだな、レイの中は熱くて、冷たい。でも、滑りが良くて、たまんねぇな」
満足げに耳の中にも舌を差し入れて掻き回す。鼓膜にもピチャピチャと水音が響き、そこから頭の中へと音が浸透していく。レイヴンは普段よりも乱れ、今の状況も忘れて快楽に酔いしれてしまう。
「あぁんっ、テオ……もっと、もっと……深く、欲し……冷たいの、熱くして……?」
「……っ、あぁ……参ったな、俺の方がヤラれそうなんだが……」
レイヴンをグッと引き寄せると、腰を引っ掴んで自身の身体へと落として最奥へと突き立てる。同時にレイヴンの両足がピンと伸びて、レイヴンが先にドクドクと白濁を吹き零す。
それでも乞うように涙を流しながら、両腕をテオドールの背に回して爪を突き立て、テオドールを受け入れる。
「んあぁぁぁぁっ!!ぁ、あ……ふか、深い…の……テオで、あっつい、よぉ……」
「俺も、レイが可愛すぎて……ック、キツ……」
外のせいなのか、2人とも普段より開放的に素直に欲望を貪り合い、どちらともなく唇を合わせて、お互いを高め合う。テオドールも大分張り詰めて限界が近くなると、レイヴンがギュウっと両足を絡めてテオドールに早く吐き出せと催促する。
「レイ、そんなに欲しいのか?」
「欲し……テオが、欲しい……テオが……」
うわ言のように繰り返し、とろんとした瞳でテオドールを見つめるレイヴンにテオドールが喉を鳴らし、獰猛な瞳でレイヴンを射抜くと、ガツ、ガツ、と、最奥を何度も叩いていく。
ザブザブと水は泉に波を立てて、神秘的な雰囲気を壊してしまう背徳的な行為を責めるように、水飛沫を2人へと浴びせかける。
「あ、あ、あぁぁっ!あ……アンっ!!ぁ、……ッあ!」
「レイ……っ、出すぞ!」
バシャン!と大きな飛沫を上げ、テオドールがレイヴンを掴んで腰をグッと落とす。レイヴンは喉を仰け反らし、また白濁を吹き零す。
「ぁ、あぁぁぁぁっっッ!!ぁ、……ぁふ……」
レイヴンはビクンビクンと裸体を跳ねさせると、力なく両腕を離してそのまま泉に落ちそうになる。テオドールが熱い息を逃しながら腕で抱きとめ、ビュクビュクとレイヴンの中に欲望の塊を吐き出していく。
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