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117.師匠と弟子で調べ物

ゆったりとした休日を過ごした後、魔塔での予定をやり終えると2人で王宮の図書館へと向かうことになった。テオドールの言う通りに許可は取らずにそのまま図書館へと足を運び、レイヴンは最後まで使用許可をと粘ったが、テオドールの勢いに負けて結局そのまま本を見に行くことになってしまった。 「誰でも入れる訳じゃないのは分かってますよね?」 「王宮に入れるヤツなら問題はねぇだろ。大丈夫だって。考えすぎだ」 「すぐそんなことばかり言って。だからテオに妙な通り名が……」 「細かいことは気にするなって。ほら、行くぞ」 重たい白の大扉を開くと、高い本棚がいくつも並ぶ空間が現れる。 独特の閉鎖空間だが居心地が悪い訳ではなく、掃除もされているので埃っぽいということもない。結構な数の図書が並んでおり、中には読書用の場所も確保されているのでここでじっくりと読むことも可能だ。2人は図書館の中をゆっくりと進み、まずはどんな本があるのかを流して見ていく。 「テオはどんな本を探しに来たんですか?」 「まぁ、色々とな。ただ、ヤツらのヒントになるような本があれば儲けもんだがな」 「確かに。あの召喚陣も気になりましたし、一体何処から知識を得ているのか……」 「まぁ、文献なんて探せばいくらでもあるだろうしな。頭の切れるヤツなら自分で何とかする可能性もあるが、何にせよ厄介だな」 魔法に関係する本が並ぶ本棚の前で手分けして何かないかと探してみる。いくつか気になるものを手に取っていくが、レイヴンが気になったものは1つどうしても届かない位置にあり、背伸びをして右手を伸ばす。指先も必死に伸ばし、つま先立ちまでしてみてもまだ届かない。 「あと少しなのに……っ!?」 レイヴンは結局バランスを崩してしまい、持っていた本と一緒に自分も倒れそうになったところで背中が自然と受け止められる。いつの間にか背後にきたテオドールがレイヴンをしっかりと抱き止めて、本も手のひらの上でうまいこと重ねてバランスを取った。 「大丈夫か?届かないなら届かないって言えば取るのによ」 「取れると思ったんですけどね。別にワザとプルプルしていた訳じゃないです。でも……ありがとうございます」 「まあ、背伸びしてるの見るのは楽しかったけどよ。可愛いし」 「そういうのが悪趣味なんですよ。仕方ないじゃないですか、背が低いから」 不満げな表情を隠さないレイヴンにテオドールが顎で行き先を指し示す。レイヴンも納得して頷くと、改めて手渡された本を持ってテーブルの上へとドサリと落とす。 「まずは読んで見ましょうか……って、またソファーで読むんですか?椅子と机があった方が良くないですか?」 「お互い覗き込める位置の方がいいだろ。同じような物を探そうとしてるのに離れてたら呼ぶのが手間じゃねぇか」 テオドールの意見も一理あるかと、レイヴンも一応は納得して読む分の1冊だけを手に取り、ソファーに腰掛けた。

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