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124.甘いチョコレートのように
なされるがままにされた結果、タオルにくるまれてベッドへと運ばれるということになり、大きな赤子になった気分になったレイヴンはとりあえず静かに様子を伺っていた。
「なんだ、もう眠くなったのか?」
「いえ、そういう訳ではないのですが……」
「そういや飯食ってねぇから腹は空いただろ?」
「あぁ、そうでしたね。言われるとお腹が空いてきた気もしますけど」
お腹を擦ってみると、ぐぅ、と、分かりやすくレイヴンの腹の虫が鳴く。恥ずかしくてお腹を押さえても聞こえるので、側にいたテオドールはククと肩を揺らして笑う。
「分かりやすくていいじゃねぇか。この部屋に食うもん……この前買ったヤツがあったか」
「……記憶から抹消してください。食べ物……何かありましたっけ?」
レイヴンがタオルを頭から被って様子を伺っていると、テオドールが薄い板上のものを持って戻ってくる。包みを開けると、チョコレートが姿を現した。
「それ、この前の?」
「甘い方だな。買ったの忘れてたんだよなぁ。とりあえずコレ食っとけ」
テオドールがレイヴンの口元にチョコレートを持っていくと、レイヴンは流れで口を開いてチョコレートを頬張る。パキ、と口だけで折って横着に食べ進めていくのを見て、餌付けしている気分なのかテオドールが反対側を口で咥え、続きを食べろと顎で促す。
「この人は……はいはい。いただきます」
レイヴンは口の中に残っていたチョコレートを食べてしまうと、また口を近づけてパキ、と折って食す。その行為を繰り返せばテオドールとの距離は自然と縮まってくる。
「……こういうことがしたかったんです?どうせ誰かとしてたんでしょう?」
ニヤリと笑んで無言で促してくるテオドールに、レイヴンも半ば諦めて最後の一口も食べようと口を開けると、予想通りに捕まえられて唇ごと奪われる。口内を探られるとチョコレートの甘さが余計に広がり、普段より甘く感じて唇が離れてもふわふわとしてしまう。
「予想以上に甘いな」
「いろんな意味でお腹がいっぱいです」
トンとテオドールの肩に額を預けると、被っていたタオルがパサリと落ちる。
まだ少し濡れている髪を優しく梳いてレイヴンを宥めると、顔を上げたレイヴンの方から優しく口付ける。
「今日も負けた気がします」
「なんで勝ち負けに拘るんだよ。まぁ、俺は何でもいいけどよ」
「ヤラれっぱなしなので何となく。でも、テオは俺に触れてないとダメみたいなので、そういう意味では勝ちですね」
「まぁ、仕方ねぇよなぁ。それでいいならいつでも勝ちは譲ってやるよ」
再び唇が重なると、先程の続きのように甘さと熱を分け合いながら、ゆっくりと時は流れていく。テオドールも服を脱ぎ捨ててしまうと、後は夜が更けて眠ってしまうまでは、お互いに求め合って、身体も心も重ね合わせて1つになっていく。
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