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133.圧倒的不利な弟子
テオドールの顔が間近に来ると、レイヴンも諦めたようにじっと見つめ返す。睨んでいた瞳は多少妥協へと切り替わり、何がしたいのか、と視線で訴えている。照れ隠しなのが良く分かり、テオドールは黒髪に触れながらゆっくりと顔を近づける。
「ほら、早く白状しねぇと。口塞いじまうぞ?」
「その言い方だと別の意味に捉えられますけど大丈夫ですか?ただでさえ威圧感半端ないのに、俺じゃなかったら悲鳴ですよ、悲鳴」
「レイちゃんだからいいんだよ。な?」
「な?じゃありませんよ、もう……あー……嫌だ、言いたくないー」
レイヴンが長いため息を吐くのを見計らい、戯れにレイヴンの着ているシャツを乱して裾から手を差しいれる。慌てて手を止めようとするレイヴンの手を逆に掴むとひたひたとお腹を触ってくすぐって刺激する。
「も、何して……ひゃっ!」
「何、変な声出してんだよ。ケーキやたら食べてたわりには相変わらず細いな?」
「今日に限って、なんでちょっかいかけてくるんですか…ぁっ…」
指が胸を掠めると、もっと分かりやすく身体を震わせて反応する。それでも強い抵抗をせずにテオドールのシャツだけを掴んでいるレイヴンに気を良くしたテオドールはニィと笑って口付ける。触れた唇はただ触れるだけで動かず、逆に困惑してしまい指の動きを強く追ってしまう。
「ん……」
「ほら、そろそろ言いたくなっただろ」
「……中途半端に煽るのやめません?どういう、状況……」
唇は少し浮かしたままで、テオドールは言い聞かせるように声色を優しくして素肌を撫でる。直接的な刺激よりも、擽るような触り方が焦れったく思う自分も恥ずかしくなってきたレイヴンは、上がってきた体温を逃せない代わりに視線を外す。
「まだ何もしてねぇんだけど」
「何も、してるでしょう?触ってるし、近いし……」
「なぁ、レイ……」
「……」
この状況でもだんまりを続けるレイヴンからほぼ察してはいるのだが、頑なに言おうとしないのが面白くてここまできたら言わせてやろうとテオドールは緩く、優しく、身体を撫でる。そこまで快楽を伴う触り方ではないのだが、むずむずとして逃れたいのに伸し掛かられているせいでどうしようもない。少しずつ、少しずつ、シャツが脱がされてつつあるのも気になるのだが、レイヴンの両手はテオドールに捕らわれたままだ。
「……はぁ……ここまでしつこいと嫌われますよ?」
「ここまで頑固なのもどうかと思うがなァ?」
「今更だから、本当に気にしないでください。もう恥ずかしいから」
「俺しか聞いてねぇんだから、言ったほうが楽になれるぞ」
「そんな、尋問みたいに言われましても……」
やりとりを楽しむテオドールに対して、もう解決したことを言わされようとしているレイヴンでは、レイヴンの方がどんどんと追い詰められていく。体勢的にも不利なレイヴンは、テオドールに全てを見透かされていそうで、まともに視線をあわせることができない。
キシ、キシ、と、時折軋むソファーが今の状況を伝えてきて余計に居たたまれなくなっていく。
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