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136.お互い素直で※
最初はソファーの上で始まったが、身体の大きいテオドールが自由に動くには少し窮屈だ。レイヴンはソファーが壊れてしまうのではないかと変に緊張してしまい、ちらちらとソファーに視線をやって気にしていた。
「なぁに気にしてんだ?」
「ん……だ、だって。ソファーが。ギシギシ言ってて……っぁ…」
キスの合間に身体にも触れられて意識がはっきりしているうちにと訴えてはみたものの、テオドールはあまり気にした様子もなく、レイヴンの首筋に吸い付いて跡をつける。
「そ、そこ。今、跡つけましたよね?ピリっとして……」
「別にいいだろ?明日も休みみたいなもんだしよ」
「またそんなこと言って……ひゃっ、あ、あぁ……」
唇で首を何度も触れられていく感覚が、擽ったさと熱を伝えてくる。声も色を増して息も乱れてくると、テオドールがレイヴンのシャツを取り去って、パサリ、と、床へと放ってしまった。
「あ……」
「ここだと大胆には動けねぇか。ベッド行くかァ?」
「大胆って……そんなに、動くつもり……ですか?」
「まぁ、気分次第だな」
そう言うと少し身体を離して起き上がり、素早くレイヴンの身体の下に両腕を入れて横抱きにしてスタスタと歩き出す。ベッドへと一直線に向かい、優しくレイヴンを横たえた。
「さってと。美味しく食ってやるよ」
「人を食べ物みたいに、言わないでください……んっ…」
テオドールも上半身のシャツを脱ぎ去って床へと放ると、すぐさま覆い被さってレイヴンの唇を奪う。頬を柔らかく指先で撫でながら、啄むように、一度、二度、三度。
まずは優しく触れていく。
「ホント、いつもと違って……恥ずかしいけど……ちょっと、嬉しい感じがします」
「素直で何より。ご褒美やらねぇとな」
テオドールはニッと口で弧を描き、指先をレイヴンの黒く艷やかな髪へと埋めて、ふわふわと撫でていく。その間にもキスを降らせることはやめずに、目元、頬、鼻先、と擽ったがるレイヴンを宥めるように、繰り返し、唇を落とす。
「テオ……」
レイヴンも手を伸ばしてテオドールの頬に触れながら、自分から唇を近づけてチュッ、と、唇にキスを返す。どちらかと言えば受け身なことが多いので、テオドールはその反応を満足げに見遣る。
「今日は一味違うな。いいぜ、俺もいいところを見せねぇとな」
「張り切りすぎなくて、いいですよ?俺、触れてもらえるだけで、その……嬉しいから」
レイヴンが頬をほんのりと染めて呟く言葉は、テオドールの心を揺さぶる。激しく貫きたい気持ちと、甘く蕩かしたい気持ちとがせめぎ合い、結果、どちらもすれば良いと頭の中で結論付けた。触れる手はそのままに唇で首筋を吸い上げて、また1つ所有印を増やしていく。
「……ぅ、もう……明日、部屋から一歩も出ませんから。テオ、付けすぎだし」
「んな、そこまで付けてねぇだろ。どっちにしても動けないくらいはするつもりだしなぁ」
かぁっ、と、赤く色づくレイヴンは、顔だけではなく首まで赤い気がして、テオドールは鎖骨にも舌を這わせて、ちゅっ、と吸い上げる。
「俺、明日ベッドから出られるのかな……不安……」
「どうした、怖気づいたか?」
「そういう訳じゃ、ないですけど……俺の気持ちより、身体がもっと触れて欲しいって思っている気がして、どうしよう……」
本当に困り顔で訴えるレイヴンに対して、テオドールは笑みを零すばかりだ。不遜な笑みではなく、嬉しそうだ、と分かってしまう自分も恥ずかしいと、レイヴンは誤魔化すように両腕をテオドールの首に回してキスを強請る。
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