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151.再会

移動(テレポート)でエルフの里の結界前まで飛ぶ。2人が姿を現して周囲を見回していると見知った顔が2人の側へと駆け寄ってきた。 「テオドールさんと、レイヴンさん!結界を越えていらしたのですね」 「レクシェルさん!たぶん、俺が耳飾りを持ってきていたので。お父さんがこれを付けていれば越えられると言っていたから……」 「壊したりはしてねぇからな。ところでアンタは?」 「お2人を歓迎したいところなのですが、こちらも何か不穏な気配がありまして今調べているところなのです。お2人も急いで来られたようですが……よろしければ、中で少し話しましょう。お疲れのご様子ですし」 先の戦いでテオドールのローブは少々破けたままで、レイヴンは魔力(マナ)を大分消費していて顔色がやや悪い。気を利かせたレクシェルの提案にテオドールも頷き、一旦エルフの里へと入る。 +++ 「それで、こちらに来られたのは。最近起こっていた子どもの連れ去り未遂のことで?」 「あぁ。前にこっちに召喚陣があっただろう?俺らのところにもまた似たようなのが描かれてたんで痕跡を辿ったんだが、近くにやらかしたヤツが潜んでいる可能性があってなぁ。確認にきた」 「私たちの国では実際に子どもが連れ去られてました。目的は分かりませんが、どうやら魔力(マナ)を集めているみたいで……」 レクシェルに連れて来られた小さな家の一室。全て木で作られた一室は自然と落ち着く雰囲気だが、今はそこまで楽しむ余裕もない。出されたお茶を飲んで緊張で乾いてしまう口を潤すくらいだ。ここは彼女の家だそうだが物も少なく、綺麗に片付いている。 「一体何を企んでいるのか。エルフを狙うのも魔力(マナ)が目的ということですか……」 「まだハッキリとはしませんが。そのようなことを口走っていたので」 「っつー訳で、この辺りに怪しい場所がないか見に来たんだが。まぁ、今日は寝るか。レイヴンは無茶してたし、寝かせてから動いた方が良さそうだ」 レイヴンの頭にポンと頭を乗せるテオドールに対して、レイヴンはその手を取って強い視線を向ける。 「何を悠長な!先行したのにのんびりと構えるだなんて!」 「……レイヴンさん、私たちもあなたたちの国王にお話をしてから何もしていなかった訳ではありません。あれから警備を強化して、今日もハーリオンが外の結界に異常がないか見回っています。召喚陣を壊していただいたおかげで精霊魔法も使えるようになりましたから。精霊に危険がないか探ってもらっているのです」 レクシェルの言葉に少し冷静さを取り戻したレイヴンがレクシェルに目線を向けて、取り乱しました……と、恥ずかしそうに呟く。 「いいえ、私たちのことを心配してくださって。里長も喜ばれると思います。里長もアレーシュ王国の状況は聞いていましたから、あなたのことを気になさっていました」 「そうですか……現在、この里の近くに怪しい気配はないということなのでしょうか?」 父親の話が出ると自然と表情を和らげるレイヴンを見て、レクシェルも微笑するがすぐに表情を戻して頷いた。 「そうですね。ただ……私たちが知るよりも高位の魔法を使われてしまえば、気づかない可能性もあります。里長も範囲を少しずつ広げてはいるのですが、まずは自衛からなので」 「まぁな。隠蔽に特化した古代魔法もあるだろうし。ヤツはお勉強がお好きだからややこしいもんを構築されちまうと簡単には見つからねぇかもな」 室内に少々重たい空気が流れ始めると、断ち切るようにテオドールがお茶を飲み干して、大仰に手を振って見せた。 「ま、俺たちがいれば何とかなるだろ。その前に、だ。準備させてもらうとするか。何かいい装備くれよ」 「な、何を厚かましいことを……」 「いえ、テオドールさんのローブも気になっていましたし。里の恩人の頼みですから。今日は休んで行ってください。折角ですし、里長にも会っていかれますよね?こちらにいることはもう分かってらっしゃると思うので」 優しく微笑むレクシェルにレイヴンは何度もお礼を言い、里長であるクレインのいる神殿へと足を運ぶこととなった。

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