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162.戯れの続き
「……着いた」
「レイヴンを自分の範囲内に持ってきたし、一人分の魔力くらいで飛べるから問題なかったな。レイちゃん軽いし」
「成程……って。軽くて悪かったですね!って、本来は報告が先だと思いますが……」
「俺らが帰還したことは誰も気づいてねぇし。明日でいいだろ。今晩はゆっくりしようぜ?もう大分日も暮れてきちまったし」
気づけば夕刻の時間帯になっていた。レイヴンを優しく地へと下ろすと、テオドールも両腕を伸ばして身体を伸ばす。
「……俺も疲れました。まずはお風呂に、ご飯に……」
「最後にレイちゃんをいただく、と」
「だから、いちいち言わなくていいですし!別にしなくても……」
「却下」
「こういう時だけ返事が早いし」
レイヴンもそれ以上は文句も言わず、ローブや装備を順に外して衣紋かけにかけていく。
テオドールも鼻歌交じりで同じく外していくが、かけるのは全てレイヴン任せだ。
「一緒に風呂入るか?」
「入りませんってば!」
「そんなにムキにならなくてもいいのによ。まぁ……振られたならしゃあねぇか」
「普通に1人で入りましょうよ……別に逃げませんから」
困ったようにレイヴンが呟くと、テオドールが先にスタスタと歩きながら服を脱ぎ始める。
「サクっと終わらせちまって、かるーく飯食えばいいだろ」
「……どれだけしたいんですか……」
呆れた長めのため息を吐くレイヴンだったが、否定の言葉はなかった。
要は拒否はしないという意思表示なので、テオドールは機嫌良く先に風呂へと向かった。
+++
お互いに風呂と夕食を済ませると、テオドールが待ってましたとばかりにレイヴンをベッドの上へと引っ張り込んで抱き込んでしまった。
「ホント、テンパってると触らせてもくれねぇし。どれだけ待てばいいんだよ」
「そんなこと言われても、それどころじゃなかったですし。というか、今もこんなことをしている場合じゃな……」
レイヴンが言い掛けたところで、更にぎゅうぎゅうと腕の中へと引き込まれる。
テオドールが髪を撫でながらただ抱きしめるばかりなので、逆にどうしてよいのか分からずに、レイヴンは大人しくしていた。
「テオ……?」
「ん?」
「その……何して……」
「レイちゃんを堪能中」
しょうもない答えが返ってきたので面食らうが、優しい手付きに安心して身体を委ねる。鼓動を聞くと、レイヴンはいつも安心することができた。
「くっつくの好きだよなぁ。守られてる感じがするからか?」
「こういうことしていた記憶があまりないから、かも。俺が遠慮していたせいなんですけど……それに、仲良くなる前に戦争に巻き込まれてしまったから」
「そうだったな。じゃあ尚更甘えておかないとな。まぁ、これだけで終わらせる予定もねぇんだが」
テオドールは少し身体を離すとレイヴンと視線を合わせ、ニィと笑う。
レイヴンはその顔を見ると改めて恥ずかしそうに自分から視線を外してしまった。
「そんなに目を逸らさなくてもいいのによ」
「改めてされるのも落ち着かないので、どんな顔をしていいのか分からないんです」
「抱きしめて撫でるのはいいが、その先はダメって……やっぱり強引な方が……」
「違うから!そういう意味じゃないから!」
やたらと構えているレイヴンをおかしそうに見ながら、テオドールはレイヴンの耳に触れてさわさわと優しく撫でる。
「何もしてねぇのに……もう、耳が赤い」
「今、してるじゃないですか……」
「別に撫でてるだけだ。その割には感度いいよなァ」
「ぅ……」
指先で耳の輪郭を丁寧になぞると、レイヴンが擽ったそうにしながら吐息を逃す。
耳朶を触りながら耳の穴まで丁寧に触れていくと、耳だけで感じ始めたレイヴンが甘い声を漏らし始める。
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