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166.国王への謁見

翌朝―― 事の次第を告げに王宮へと赴く。謁見を求めると宰相のアスシオに渋い顔をされるがテオドールが一言、重要な案件だ、と述べると、最優先事項だと判断されて謁見室へと通された。 「テオドールとレイヴンか。何やら話があるそうだな」 「王国の太陽、国王陛下にご挨拶申し上げます」 レイヴンが隣で挨拶と最上級の礼を済ませたところで、テオドールが真面目な表情を国王へと向けた。 「陛下にお伝えすることがございまして……」 テオドールが話を切り出したが、国王が緩く首を振る。テオドールも静かに言葉の続きを待とうと一旦話を切った。 「普段通りで良い。テオドール、気楽に話して構わない」 アスシオはまた何かを言いかけるが、国王が制して話の先を促す。よくよく見れば左腕に右手を当てて擦るようにしている。どうやら寒気がする、と言いたいらしい。 「では、お言葉に甘えて。先にディートリッヒから事の経緯は聞いているとは思うが――」 テオドールはエルフの里へと行った後の話を詳細に分かりやすく伝えていく。 最後まで話をすると、手の甲をあげて国王に翳してみせる。すると、手の甲に見たことのない文字の羅列と魔法陣のような形のものが現れた。 「これは……」 「魔族と誓いを交わした証がココにある。破れば俺は死ぬ、だろうな」 「なんと、なんと勝手なことを……!」 アスシオが両肩を震わせて怒りを顕にするが、また国王が手で制する。 「陛下!」 「テオドールがその場で判断しなければ、今拘束している男もどうなったか分からず、テオドール不在の中、本格的に我が国の被害が拡大する可能性があった。テオドールには私からある程度の自由を許している。この男がそのように判断したのだ。何か考えがあってのことなのだろう」 国王は双眸を細め、鋭い視線をテオドールへと投げかける。独断に対する勝算があるのか?と、問うているのだ。テオドールは不敵に笑んで見せる。 「まぁ、何とかなるだろう。その代わり、魔族は複数で遊びたいようだからディートリッヒとウルガーも連れて行く。勿論、俺の弟子もな」 「テオドール!もし、何かあれば我が国に取ってどれほどの損失が……」 「言いたいことは分かるけどよ、俺たちもアイツらも。そんなヘマはしねぇし、聖女様がいるだろう?騎士団も使えるヤツもいるはずだ。魔法使いはまぁ……ぼちぼちな」 怒り心頭のアスシオにカラリと言い放つと、アスシオが額に手を当てて頭を抱える。 「あいわかった。テオドールならばやり遂げると信じて送り出そう。これは我が願いでもある。テオドール、レイヴン、頼んだぞ」 「陛下からの勅命、拝命致しました。我が国の名誉にかけて必ずや――」 「あぁ。今回は俺も本気を出さないといけないからな。魔族の遊びに付き合って、面倒ごとはこれで終わりにしてやるよ」 テオドールの不遜な言い方にアスシオは最後まで吊り上げた眉をピクピクとさせたままだったが、レイヴンが場を収めるように来た時と同じように礼をして謁見室を後にした。

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