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184.精霊王の祝福

  レイヴンがシルフィードとクレインのやり取りを眺めていると、シルフィードがふわりとレイヴンの方へ寄る。 「レイヴン、もしかして君も撫でられたい?」 「え? あ、ええと。そういう訳では……」  レイヴンが遠慮をする前に、先にシルフィードから撫でられてしまった。  シルフィードの手つきは優しいだけじゃなく、レイヴンは手のひらから暖かくて爽やかな力を感じることができた。 「これは……?」  自然とレイヴンの中での力の流れが変わる。  同時に髪の毛の色がブロンドに変化して、左目がクレインと同じセルリアンブルーの瞳に変化する。 「シルフィード様、ありがとうございます。レイヴンにも祝福を与えてくださったのですね」 「ふふ。レイヴンは風と仲良しみたいだから。僕とも仲良くしてもらえると嬉しいな」 「ありがとうございます。確かに俺の得意な魔法は風です。すぐに分かるだなんて、さすがシルフィード様ですね」  レイヴンはシルフィードの優しい力を身体に受けて、力が高まっていくのを感じていく。  レイヴン自身の身体が軽くなったようだ。 「これで少しは精霊魔法も使いやすくなったでしょ。僕が少し力を貸してあげるから、レイヴンもこれでとっくんだっけ。しやすくなるんじゃない?」 「そうですね。お力を借りられて良かったです。風の精霊のみなさんともっと仲良くなる必要がありますから」  精霊王にも祝福されたレイヴンは、特訓を頑張ろうと心の中で改めて誓う。  シルフィードのおかげで精霊の力の流れがより分かりやすくなり、レイヴンも精霊魔法の理解を深められそうだと思った。  今までは魔力(マナ)の流れとぶつかってしまうことがあり、制御しづらいところがあった。  しかし、前より魔力(マナ)との違いが分かりやすくなっているため、精霊魔法をより発動しやすくなりそうだ。  レイヴンはテオドールの期待にも答えたい思いがあり、今回の特訓で精霊を呼び出す時間を縮められるようにしようと誓う。 「良かったな。特訓もやりやすくなったことだし、まずは風の精霊魔法から練習してみるといいだろう」 「はい、よろしくお願いします」  レイヴンはにこやかに笑っているシルフィードとクレインに見守られながら、レクシェルと一緒に風の精霊を召還してみる。  まずは目を瞑り、力の流れに集中していく。  爽やかな風が、レイヴンの身体の中を駆け巡っていく。  これが精霊魔法の流れなのだろうと、レイヴンも感覚で理解する。 「力を押さえつけるのではなく、力に逆らわず放出する感じですね」 「逆らわず……」  レイヴンは焦らず、力の流れに任せる。  そうすると、いつもより早く妖精を呼び出すことができた。 「わっ! シルフィード様もいる!」 「ちゃんとレイヴンの言うことを聞いて出てきたんだね。偉い偉い」  シルフィードが妖精を褒めてあげると、妖精も喜んでクルクルと踊るように飛び始めた。

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