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185.精霊王の想い
レイヴンは妖精もシルフィードのことが大好きなんだろうと思った。
レイヴン自身もシルフィードと出会ったばかりだが、凄く魅力的だと感じていた。
やはり精霊王だからこそなのかもしれない。
「うん。いい感じだね。その調子で精霊と仲良くしていけば、もっと上位の子も簡単に呼び出せるようになるはずだ。僕が言うんだから間違いない」
「そうですね。我が子レイヴンにも祝福を頂けたのですから。親としてこれほど嬉しいことはありません」
どうやら、クレインも喜んでくれているのが分かる。
レイヴンはこの場所でもっと力を付けて、テオドールの助けになりたいと強く願う。
クレインとテオドールの両方に教えてもらえることを考えれば、逆にハーフエルフで良かったのかもしれない。
二つの力をうまく使いこなせれば、足手まといにならないのではないかと前向きに考えることができていた。
「良かった。レイヴンさんも少し自信が持てたみたいですね。私も貴方の才能を信じていましたから。じゃないとシルフィード様もこの場にお姿を見せたりしないはずです」
レイヴンはレクシェルにまで祝福されているのが分かり少し気恥ずかしくなる。
だが、テオドールも言っていたみたいに少し自信を持つことも大切なことだと気付く。
落ち込んでばかりもいられないし、もっと頑張ろうと心に誓う。
「ありがとうございます。俺、これからも頑張ります」
「ああ。その意気だ。精霊魔法は精霊と心を通じ合わせることが一番大切だからな」
「そうそう。クレインも最初はへそ曲がりだったから、僕が優しくしてあげたんだよ?」
シルフィードがからかうようにクレインに言うと、クレインはコホンと咳払いをしてみせる。
「私も未熟でしたから。今もまだまだですが、あの頃に比べれば心穏やかに過ごすことができています」
「ふふ。そうだね。レイヴンと会ってからクレインも嬉しいんだなって分かるよ。僕もみんなと仲良くできるのは嬉しい」
シルフィードはレイヴンとクレインの間に入って、ぎゅっと抱きしめてくる。
レイヴンたちの心も何もかも、全部お見通しだと言わんばかりだ。
「魔族と立ち向かうのは大変なことだ。僕らも簡単に手を出せる相手じゃないけれど、君たちの力になってあげたい。だから、遠慮せず呼んでよ。僕だけじゃなくって、きっと……ううん、僕からいうことじゃないな」
シルフィードは何かを言いかけたのに、やめてしまった。
一体何を伝えようとしていたのだろうかと、レイヴンは改めてシルフィードを見遣る。
「ごめん、僕からは言えないんだ。その時がくれば分かるし、君たちにとって悪いことじゃないよ」
「私とレイヴンにとってですか?」
「そうだよ。クレイン、君も全ての精霊と心を通じ合わせているわけじゃないからさ。みんな気まぐれなところもあるけど、僕たちに敵意のない者と敵対することはないし。信じてほしい」
「シルフィード様がそうおっしゃるなら。俺もシルフィード様と精霊の皆さまを信じてますから」
クレインも納得したように、そうですねと呟いてから頷く。
レイヴンもシルフィードが言いかけたことは少し気になったが、きっと悪い話じゃないはずだと信じて今はクレインと同じように納得することにした。
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