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第37話
咲
気持ちよさそうに大きく伸びをすると、のぞの白い腹がちらりと見えた。
少し気だるげで、事後のような甘い雰囲気に酔いそうになる。
「あれ、のぞ。」
「はよ。咲も起きたの?」
「うん。」
俺に向かって微笑みながら近づくのぞの寝癖を、軽く触れる。
俺とは違いネコのように柔らかく、細い髪。
のぞの身体は、細部に至るまで繊細にできている。
髪の毛から徐々に視線を下げると、のぞのハーパンが膨らんでいることに気がついた。
「なーに見てんの?」
咎めるようにそう言いながらも、表情は照れくさそうにはにかんでいた。
「いや、ごめん!!」
「普通に生理現象じゃん。てかお前も勃ってるし。トイレ抜きに来たの?おそろじゃん。」
「お、おそろだな。」
確かに、俺のも当たり前のように反っていた。
勃起のお揃いなんて、細胞のひとつひとつが煩悩で埋め尽くされていく気がする。
居た堪れなくって前を隠すと、のぞに人差し指を掴まれる。
「別に、恥ずかしがんなくていいよ。」
そう言いながら俺の腕を掴んで、指をのぞの口元に持っていく。
蕩けそうな柔らかさに驚きながら、されるがままのぞの唇に目を奪われた。
舌で指先を舐められ、軽く吸われる。
それだけで、痛いくらいに俺のモノが反りあがった。
「触る?」
「いいの?」
「いいよ。いっぱい触って。」
のぞに促されてパンツを捲ると、前にベッドで覗いたモノがある。
先端が赤みを増し、刺激を待ちきれないように滴がこぼれる。
手の平で優しく包み込み、少し湿った感触のソコを擦る。
すると、半開きの口から舌がちらつく。
「ん、きもちい。もっとして。もっと……。」
胸に額を擦り付けながら、俺の手首を掴んで動かされる。
その激しい動きに、触れてもいない俺のモノもそのリズムに合わせて溢れだす。
「あっ……んんあ、あ……ハアハア、ああっ!!」
俺に寄りかかり息遣いがどんどん荒くなるのぞの顔から、一刻も目が離せない。
目をかたく閉じながら快感を貪り、射精の瞬間には瞼が小さく痙攣する。
俺の顔まで精液が飛び散り、赤らんだ顔ののぞと視線が絡む。
「きもちかったね。」
笑顔で微笑まれて、おもいきりのぞを抱きしめる。
そこで、下半身の異様な冷たさに気がついた。
―――え、今の……夢?てか夢精した??
解像度が高すぎて、目の前で起こったことかのような錯覚に陥るが……
枕を抱きしめているだけで、のぞの姿はそこにない。
何度も何度も目を閉じても、こちらが現実だと実感するだけ。
修学旅行で、俺はなんちゅう夢を見てんだ。
のぞの乳首の破壊力、凄まじかったもんな……。
それにスカート、めっちゃかわいかった。
俺はマジで、セックスのことしか考えてなさすぎる。
のぞの背後から襲いかかりそうになったのを、田中が止めてくれて本当によかった。
のぞのことを全部知りたいのは、比喩でもなんでもなく事実だから。
身体だけでも足りない。
なにを見て、なにを感じて、なにを考えているのか、全部知りたい。
―――まじで、誰もいなけりゃ襲ってたわ。
下着に張り付いた精液に辟易としながら、布団の中で手早く処理する。
ベッドにカーテンがついているのが救いで、新しい肌着を身に着けカーテンをあけた。
まだ夜も明けていないようで、カーテンの隙間からも闇が広がっていた。
―――ダルすぎるから起きよ。
大きく伸びをすると、廊下で小さな物音がした。
こんな時間に起きてる奴いるのかなと思いながら、スマホ片手に廊下に出る。
「あれ、咲?」
「の、のぞ!?」
ドアを開けた瞬間のぞがいて、思わず声が裏返る。
「早いね。いつも朝練してるから?」
「のぞも珍しく早起きじゃん。こんなとこで何してんの?部屋このフロアじゃないっしょ?」
先ほどの夢が正夢になってくれたら、なんて幻想を抱くきながらも……。
さっきのリアルすぎる光景を思い出しそうで、のぞの顔がまともに見れない。
「あー、なんか落ち着かなくて。咲に会いたくなった。電話しようと思ったら出てくるから、びっくり。」
いつもよりも少し沈んだ声に顔をあげると、朝と同じように顔色が悪い。
その顔にまさかと思いながら頬に触れると、俺の不安を汲み取ったのぞが「あー、そういう意味じゃなくて。」とふわりと笑う。
歯切れの悪い言葉を残しながら、俺の胸に額をぶつける。
さっきの夢を彷彿する行為に、腹の中に熱が籠もった。
「やっぱ、同クラがよかった。」
「え?」
「咲がいたら、ゆっくり寝られるのに……。」
―――股間に目が……ヤバイ。勃ちそう。
膨らんでいないのは分かり切っているのに、のぞの下半身ばかりチラチラと見てしまう。
そこに膨らみなどないのに、以前見たのぞの性器を鮮明に思いだした。
薄い色素の竿や剥き出しの先端、手入れの行き届いた茂みもしっかりと思いだし、我慢が出来ずにしゃがみ込む。
前かがみにしゃがみ込む俺を不審に思ったのぞが、心配そうに覗き込む。
「どしたの?体調悪い?」
「タイム。」
バレないように背中を向けて、トイレまでダッシュする。
背中でのぞが独り言のように呟く言葉を、否定できる余裕もなかった。
「あー、うんこだったんか。わり。」
―――違う!!!
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