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第4話

武器一覧 ルキナ🍊 白いステッキ。彼女が想い描いた武器に変えられる。万能そうだが、彼女のイメージによって質が変わってしまう難癖のある道具。 あやふやに思い浮かべると、武器にならないほど脆かったり、起動しなかったりする。 ルド🌻 銃専門。 今回はハンドガン(挙銃) ポケットにもいれて置くことができるので、常に持っている。 ちなみにお気に入りは、狩りに使っていたライフル銃。10代から扱っていた。 ディース🍎 お気に入りの剣(バッグソード)。いつから持っていたのかは彼は覚えていないが、常に持っている。自分で磨いたりと割と丁寧に扱っている。 サンティア🐬 体力がないので普段は戦わない。 念の為外に出る時は小さなナイフを身に付けている。 ━━━━━━━━━━━━━━━ 『ハハッお前の噂を聞いていたが、思ったより弱いな』 完全に取り憑かれたサンティアに首を掴まれ、また投げ飛ばされる。 こいつ、やたらと力が強いのだ。 近づいては何度も投げ飛ばされ、俺は思うように身体も動けなくなっていた。 「ガハッ...!」 地面に叩きつけられた衝撃で、口から血が出てくる。 剣を地面に突き立て、立ち上がるが足が少し震えていた。 乱れる呼吸の中、俺は必死に倒す方法を考えていた。相手はあの醜いサンティアだが...攻撃すればルキナ達に叱られるだろう。 いや、でも攻撃していかないとこっちの身がもたない。 心做しか、自分が攻撃を受ける度に奴はどんどん力が強くなっていた。 何かの影響で強くなっていくのか?こいつは。 『弱いお前はもう少しで死ぬだろうから最後に教えてやるよ』 にやりと笑いながら、俺のところへ近づいてくる。俺はいつ何がきてもいいように構える。 『呑気に生きてるこいつに取り憑いてるから、数日間。俺はずっとこいつの感情を見てきた』 トントンと奴はサンティアの心臓あたりを指でつつく。 『俺は試しにこいつの抱えてる負の感情を掘り下げてったのさ。そしたら.... 何が見えたと思う?』 俺が上手く動けないことをいい事に、どんどんと話し出す。 そして、奴の質問の答えには思い当たるところがあった。 『お前に向けた好意さ。笑っちまうよね』 ヒヒヒっと口角を上げながら笑うと、すかさず話し出した。 『だけどさ、こいつがどんな事をしてもお前は一切振り向かなかった。しかも、殴るなんてさ。本当に最低なやつだよ』 まぁ取り憑いてる俺も俺だけどさ、と付け加えるとケラケラ笑う。 さっきから良いように言われ、笑われ、流石にイラついてくる。 「貴様には関係ないだろ」 『関係ない?大ありありさ!お前には恨みしかないんでね。』 「恨み?お前のことなんて知らないぞ」 俺がそういうと、一瞬目を見開くと心底有り得ないといった顔をする。 『おいおい、まさか記憶喪失になったとか言わないよな??俺にやったことを忘れたとは言わせないかんな』 顔に血管が浮き出るほどに、声を荒らげる。 記憶喪失になったのは間違っていない。 心当たりが全くないのは、記憶を無くす前のことを言っているからだろう。 『...いや思い返せば、お前は確か記憶喪失になってたんだな。ホントにお前こそ呑気に生きててさ、マジで気に食わないね』 奴は溜め息をつきながら肩をすくめる。 『こいつとお前、お互いクズだよね』 『実はこいつ、幼少期にお前の料理に毒盛ってたのさ。お前も血吐いてさ...本当に胸糞悪い話じゃない?』 毒....その言葉に心臓が高鳴り、手が震えはじめる。 『そんなことしてといてさ、好きだとか言うんだよ。まじで意味が分かんない』 手の震えはひどくなる。 頭もズキズキと痛み始める。 毒...を料理に.... 『お前もこいつのこと相当好きだったのにさ。』 俺がサンティアを.... 心臓がバクバクし、息が上手くできなくなってくる。 ダメだ。話を聞きたくない。 『あっさりと裏切られて、その後にさ』 聞きたくないのに身体が動かない。 「やめ....」 俺はいつにない震えた声で止めようとする。 この先は聞きなくないと本能で感じた。 だが話すことをやめなかった。 『お前は狂って、こいつの兄を殺しちまったのさ』 俺は気がつくと、サンティアの身体を切りに行こうとしていた。 彼を押し倒し、体の上に跨る。そして、彼の腕を膝で抑えた。 剣の先を奴の顔に向けると こいつの口を切り落とさなければ。 そうしないと、思い出してしまう。 『あーあ』と動揺せず、にやりと笑っていた。 『君は成長してないんだね。 ....この光景に見覚えは?』 そう言われると、黒いサンティアの身体が一瞬にして小さい身体したサンティアに切り替わる。 目の前の彼は、ボロボロと涙を流し、必死に抵抗しようとしていた。 「ッ...!」 激しい頭痛と共に、記憶が蘇ってくる。 この時、俺は毒を盛られ彼を襲った。 この後、サンティアを刺そうとしたら兄が庇う。 そしたら俺が..... サンティアの兄が血塗れで横たわっているのを思い出す。 相変わらず頭痛は酷く、剣を握る力さえ無くなっていく。 ついに剣を落とすと、痛みのひどい頭を抑えた。 すると次々と記憶が蘇ってくる。 ....あぁ、俺は... 『お前は罪ともう一度向き合うのさ』 『”小さな悪魔“さん』 奴はそう呟くと 口から黒い霧吐き出し 俺の身体を取り込んだ。 ━━━━━━━━━━━━━━━ 目の前には、首が転がっていた。その付近には血塗れになった首なしの身体があった。 「ヒッ.....」 目の前の光景に、手が震え剣を落とす。 僕は流れてくる血を避けるように後ずさりをする。 すると遠くから女性の悲鳴が聞こえてきた。 悲鳴を上げた人物を見つけると、僕の方へ指をさして 「あ、あの子供....人殺しよ!!」 その声を聞いた人々はわらわらと僕の周りに集まってくる。 違う...!!これは、事故だ。 ただ僕は、剣術を習ってただけなのに。 そうだ。教わった通りのことをしただけだ。 首がとれた人物は、僕に剣術を教えてくれていた人だった。 その人に僕は...誤って切ってしまったのだ。 あっという間に僕は兵士に捕らえられ、牢獄に入れられた。 牢獄にいれられて数ヶ月。 見張り番の声が聞こえてくると 「あいつに近づきたくない」 「近づいたら殺られる」 「悪魔に取り憑かれているんじゃないか」 「あいつ自身が悪魔だろ」 そんな言葉が聞こえてくる。 なんて酷い言われようなんだ。 だけど、下手に口答えせず黙って聞くことしかできなかった。 そして、いつの間にか僕は“小さな悪魔“と呼ばれるようになった。 食事はちゃんと2食は出されていたが、全ての料理には毒が盛られていた。 初めは思いっきり食べてしまい、とんでもない血の量を吐いた。 料理を食べないことにしたが、残すと見張り番に無理やり食わされ目の前で料理と血を吐く。 それが何度も何度も繰り返された。 何度も毒を含んだためか、毒に対して多少の耐性がついた。 数ヶ月後 ついに、両親が牢獄の前に現れた時。 「何てことをしてくれたのディース...あなたを産むんじゃなかった」 と母が嘆き 「こんな悪魔、今すぐ始末すれば他の族には影響でないさ」 と父はすぐ様に僕を始末するようにと見張り番に命令した。 あまりにも躊躇のない言葉に、僕は唖然とした。 それと同時に このままじゃ殺される といった焦りと絶望で鼓動が早くなる。 そう思った僕は 周りが寝静まった深夜に鉄格子を試しに引っ張ってみるとすんなりと開けた。 大きく開け、そのまま外へ逃げ出した。 思ったよりも簡単に逃げ出せたことに驚いたが、この先をどうするか考えていなかった。 とりあえず何も考えずに、がむしゃらに走った。 ただただ遠くへ行きたかった。 こんなに息苦しいところに一生いたくない。 ····· しばらくすると、森の奥に迷い込んでいた。 深夜だと周りが暗くて見えずらい。 さすがに焦り始めたが、誰かの足音が聞こえてくる。もしかしたら、赤族が追ってきたかもしれないと身構えていると、足音の正体が見えてくる。 青い髪をした子供だった。 違う族だと分かると、ホッと胸を撫で下ろす。 青族は赤族のように戦闘民族ではない。 そうだと分かれば、話しかけてみることにした。 もしかしたら、行き場所ができるかもしれない。 「あの」 「うわぁ!??」 僕が青い男の子に話しかけると、大きい声で叫び近くの木に隠れてしまった。 そりゃ驚くか。こんな森に人がいるなんて。 仕方なく、彼が隠れた木に近づく。 少しだけ木の後ろから髪の毛のアホ毛が見えていた。 「驚かせて、ごめん」 そう声をかけると 「君...赤族だよね?」 不安そうな声でそう質問をされる。 そうか、あっちからしたら赤族は権力を握っている恐怖の存在だった。 「赤族だけど...大人のように僕は怖くなんかない。大丈夫だよ」 そう言うと、顔を覗かせしばらく僕を見つめる。 そして、立ち上がり不思議そうにこちらに近づいてくる。 意外と警戒心ないなこの子。 「迷子なの?」 大きな目をしながら、首をかしげる。 「うん、ちょっと...訳があって帰る場所がないんだ」 僕の言葉を聞くと、彼はまた驚いた表情を見せる。 「良かったら....僕のお家にくる?」 目をキラキラさせながら僕を見つめる。 なんでそんな嬉しそうなんだよ。 でも、これはラッキーだ。運が良すぎる。 「いいの?」 改めて聞くと、うんうんと彼は大きく頷く。 「お兄ちゃんと二人暮しなんだ。さっそく行こ!」 そう言うと、笑顔で僕の腕を引っ張り家の方へ歩いていく。お兄ちゃんに警戒されないだろうか...。 そう思いながら、彼の家に連れていってくれた。 ━━━━━━━━━━━━━━━ 記憶を取り戻すと、俺には憎悪と悲哀の感情が渦巻いていた。 剣術の教師を殺してしまったこと。 牢獄に閉じ込められ、毎日毒料理を食べさせられたこと。 自分自身が“小さな悪魔“だったこと。 両親にあっさりと始末されそうになったこと。 サンティアと森で出会い、家に連れていってくれたこと。 サンティアの兄は無愛想ながらも優しくされ、育ててくれたこと。 そして その兄弟が作った料理に 俺のトラウマである毒が盛られていたこと。 その後、兄を殺し俺は外に逃げ出した。 迷い込んだ森に行くと、俺は泣き叫んだ。 裏切られた。 あんなに信じていたのに。 あんなに優しかったのに。 そう思うと余計に怒りが募ってくる。 それと同時に、頭が焼ける感覚に陥っていた。 そして..... そこから記憶を失った俺になったのだ。 毒の副作用とかで記憶がなくなったのだろうか。 『全て思い出した?』 脳内に奴の声が聞こえてくる。 気持ち悪いと思い、自分の頭を殴ろうとしたがピクリとも腕が動かない。 『お前は生きていい存在じゃないのさ』 彼は淡々と話し続ける。 そのような言葉はもう散々だ。 俺は今すぐにでも耳を塞ぎたかった。 『ちなみに』 『お前が首を切った教師、俺だから』 突如、とんでもないカミングアウトをされる。 根を持ってるってそういうことなのか。 しかし、その事を考える間もなく、首が締め付けられる。 その息苦しさに、目を見開くと暗闇からサンティアに首を締め付けられている光景に変わる。 いや、取り憑かれてるサンティアに、だ。 「クッ.....ウゥ」 あまりにも苦しくて、意識がとびそうだ。 俺は唸り声を出し意識を保ち続ける。 どうすればいいんだ。 明らかにさっきよりも一段と奴は強くなっている。 こいつもしかして...俺が負の感情を現したことで強くなってるのか。 もしそうなら、自分自身の感情を抑えなければ。 だが、頭の中でそう分かっていても、目の前のサンティアが憎くて憎くて仕方がなかった。 何とかして抑えたいが、中々抑えられない。 自分を裏切り殺そうとした相手だ。 いっそのこと、こいつごと殺してもいいのではと考えていた。 俺はなんとか力が入らない腕を動かし、剣のグリップ部分を握りしめる。 ...こいつを殺したって後悔することは無い。 何を言われようとも奴を倒すためだと言い訳もできる。 だったら、心臓を突き刺してやる。 1発で死ぬように。 俺の殺気に反応しているのか、どんどん首を締め付ける力が強くなっていく。 意識がなくなるまえに。 この手でやる。 剣を上に掲げると、そのまま胸の方へ振り下ろす。 これでやっと 今までの鬱憤晴らせる。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ サンティアと暮らして約2年 いや幼少期を含めると5年間、あいつと共にいた。 あいつは怪しくて、一緒にいてもろくなことがなかった。 記憶を無くしてから初めて宿屋に訪れた時 俺が剣を抜くと 「僕を殺しにきたの?」 と彼はそう呟いていた。 当時は変に震えてしまっていたが あの時本当に殺しておけば良かった。 あいつは分かっていた。 初対面の時から、俺がディースだってことを。 なのになんで、あいつは伝えてこなかったんだ。 まさか罪を隠し通すつもりだったのか? 本当に俺を裏切ったのか? とんでもない奴だ、本当に。 幼少期もそうだ。 体が弱くてずっと家にいて、ろくに外にでない。 そのせいで本の中でしかほとんど世間をしらない。 寒い時期には特に体調を崩し、管理をまかされる。 具合悪いくせに、あまり寝たがらない。 薬も飲まない。 誰かがいると、大丈夫だと言うかのようにへらへらと笑う。 俺が怪我したら叱ってくる。 相変わらず大人になってもそんな変わらない。 最近だって、訳の分からない行動ばかりをしていた。 急に好きだの可愛いだのと伝えてくる。 俺で遊んでくる。 からかってくる。 そして、横になってる時に キスをされる。 もうたくさんだ。 いい加減俺を振り回すのはやめてくれ。 俺が何をしたって言うんだ。 少なくとも、 .....幼少期の俺はお前を信じていたんだ。 あの過酷だった環境から サンティアは救ってくれた。 赤族だっていうのに。 何をするか分からない奴なのに。 もしかしたら、殺されるかもしれないのに。 お前は俺を信じて笑顔で接してくれた。 一緒に食事をとり 本の話を聞かせてくれたり こっそりと夜にあいつを外に連れ出して、夜空を見に行ったり 海を見せた時は喜んで抱きついて、泣いてきたり 風邪を引いた時は、傍にいて欲しいと気弱くなったり いつも飲まない薬を俺が飲むように言うと、頑張って飲んでくれたり 一緒のベッドに寝た時に 『好きだなぁ』 と小さな声で言ってくれていた。 風邪を引いて少し感情的になっていただけかもしれない。 だが、俺は嬉しかったんだ。 赤族なのに優しくしてくれたことも 傍にいてくれたことも こんな悪魔な俺を 軽蔑しなかったこと むしろ笑ってくれていたこと そんなお前に俺は酷いことをしたんだ。 記憶を失っていたとはいえ、 余りにもサンティアに対して酷い態度をとっていた。 幼少期も大人になってからも あいつは必死に 好きを伝えてくれていた。 なのに俺はずっと無視をしていた。 俺にも好意があったのにも関わらず。 ずっと気付けなかったんだ。自分の気持ちに。 俺はあいつに対して恐怖心をもってるばかりに、手が震えていたと思っていた。 いや、間違いではないのだが 正しくは、『また裏切るのではないか』と本能が感じてあいつを信じることに怯えていたんだ。 記憶を失う前の俺は、裏切られたと根に持ちすぎたあまりに、俺の身体は裏切られた感覚をずっと覚えてしまっていたのだろう。 それでサンティアとの関係がややこしくなっていた。俺が本能から怪しんでしまったせいで。 もう関係を戻すことはできない。 あまりにも傷を負いすぎた。 だが 俺はもう一度 お前と向き合いたいと思っている。 お前が裏切った理由が知りたい。 俺が憎くて仕方がなかったなんて お前には無いはずなんだ。 あんなに俺は裏切っていたと思っていたが 大人になったお前は変わらず優しく接してくれていた。 こんな俺を好きになってくれていた。 憎い奴を好きになるなんて有り得ない。 今だから分かる。 あいつは昔から正直者だからそうなるはずもないのだ。 あの頃には戻れないかもしれない。 だが、せめて。 せめて言わせてくれ。 遅いって怒ってもいいから。 お前に伝えたいんだ。 「俺も好きだ」って

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