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第4話

「えぇ。でも今まで配信楽しんでたじゃん。」 「あ、あれは、状況が状況やったやん。しゃあなかったんや!」 嘘つけと心の中では思ってるけど実際は遥がかなり楽しんでたのを俺は知ってる。だってアーカイブ見たらめっちゃ可愛い顔が配信されてたんだもん。その顔は非公開にしてやりたいぐらい可愛いぞ。 「ねぇ遥お願い!今月収益化しないと家賃払えないの!」 とでも言っておっこう。本当はもう家賃なんて払ったけど。 「しゃあないなぁ。今回だけや。その代わり、さっき俺が言ったことちゃんと守ってな?」 「もちろん。ゲームに関してはズルはしないよ。」 「じゃあ、配信なりなんなり好きにせぇや。」 呆れ半分で遥から許可を得て配信機材の準備にとりかかる。今回は突発的な企画なので何にも準備していない。 「じゃあ、いつもより簡略化させて?」 「任せるわぁ」 「おk」 そういってざっと配信機材の準備をする。もうこの作業、何回やったんだろうってぐらいやってる気がする準備を念入りにやる。まだ身バレはしたくない。 「でけた?」 「もち。じゃあ、配信するぞ。」 小声で打ち合わせ(台本も何もない)をして配信するボタンをクリックする。 「どうも!最近相方が可愛くて仕方ないユズです!」 視聴者に媚びを売っているわけではないがなぜか猫なで声になってしまった。俺って無自覚に緊張してるのかな。 「その友達のハルや。よろしゅうな。」 「というわけで今回は安定のゲリラライブ配信です!」 ゲリラライブ配信という言葉を聞いたネットの民たちは興奮気味に動画のコメ欄のコメントを更新していく。真昼間なのにどうしてこんなに人が集まるんだ。ネットの民は暇なのか?そんな薄暗い自分の性根を垣間見ながらライブ配信の内容を説明していく。この瞬間のもぞもぞ感はいったいなんだ。 「ってことで始めちゃいますか。」 『最近ゲーム配信めっちゃするね!ブームなの?』 『ハル君の関西弁好きぃ!!』 などなど些細なことにも気づいてくれるコメントを横目に見ながらゲーム画面を確認する。 「なぁユズ、条件の事、みんなに言わんでもええの?」 「あ、いうの忘れてた。ありがとハル。」 なーんにも考えていない脳死状態でゲームしようとしてたら条件のことを持ち出してきた遥が視聴者に言わなくてもいいのかと言ってきた。別にいうことでもないと思うとかなんとか考えたけど動画の内容的にあった方がよさげなので公言することにした。 「あのさ。ハルからの提案なんだけどさ、今回条件付きでやろうって。ハル、条件ってなんかするの?」 「うーんなんも考えてないけどこういうのはどうやろか。『youyubeのショートでお料理動画出す』っていうのは。もちろん編集も自分でやるんやで。」 遥がさりげなく俺に意地悪をしてくる。しかも直接じゃなくて間接的なのが余計怖い。

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