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元は十二畳の和室であり、もう一部屋との間にある襖を開けると、広間となる部屋であったが、頻繁に宴会などはしないということで、片側の部屋を葵人専用の服を置く──ウォークインクローゼットのような部屋へとなっていた。 これは完全に碧衣の代わりとして、着せ替え人形の如く、遊ばれているのだろうと思いつつ、居候させてもらっている手前、義母のお遊びに付き合わないととも思っていた。 部屋に入ると、全身鏡の両側に正座していた女中二人が、息ぴったりに美しい礼を取った。 その二人の前には長方形のクリスマス柄の箱が置かれていた。 「あの、これは·····?」 「ふふ、葵人ちゃんへのクリスマスプレゼントだわ」 「えっ! そ、そこまで用意して頂かなくても·····! お義母さまの料理で十分ですよ!」 「遠慮しなくていいのよ。厳密に言うと、碧衣ちゃんが喜ぶかしらと思って、作ってもらったものですけど」 「遠慮だなんて·····──え? あ·····碧衣君に·····」 碧衣君が喜ぶのなら。 ブンブンと横に振っていた手を握りしめ、胸辺りに置き、じっと義母からのクリスマスプレゼントを見つめる。 「私も見たいし。いいでしょう?」 「·····え、·····あ、ぁ·····はい·····」 「やった! じゃあ、開けてちょうだい!」 「はい·····」 気圧されながらも、丁寧に包装紙を剥がし、恐る恐る箱を開けてみる。 入っていたのは、赤い、とにかく赤い洋装のものだった。 光に照らされて、キラキラしているそれに着物ではなさそうだと思い、手に取り、広げてみたら。 「えっ! こ、これって·····!」 「さぁ、お着替えするわよ〜」 「え、ちょ、ちょっと、待っ·····っ!」 義母の言葉が合図だったかのように、女中二人に脱がされるのを、一拍遅れて抵抗してみたりするものの、為す術なくされるがままだった。

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