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着替えさせられた姿を鏡で見たのも一瞬で、「碧衣ちゃんに見せに行くわよ〜」と強引に手を引っ張られ、部屋を出て行く。
「ちょっと、待ってください·····っ! この格好はさすがに·····!」
「大丈夫よ〜どこもおかしくないわ! 着物よりも動きやすいでしょう?」
「そうですけれども! 短すぎて·····」
空いている手で必死に伸ばすという無意味なことをしてみる。
少し動いただけで下着は見えそうだし、動く度に足がスースーする感覚があって、落ち着かない。
こんな格好をさすがに碧衣に見せるのは、恥ずかしすぎる。それよりも、また義母が葵人の話を聞かずに、無理やり着させたと怒ることだろう。
それと、やっぱり義母の言うことを聞かなくてもいいと、ある意味、葵人も怒られる形になるかもしれないと思うと。
「碧衣ちゃん!葵人ちゃんをクリスマスバージョンにしてみました〜!」
「クリスマス、なんだっ·····──って」
「·····っ」
さっきの部屋に入った途端、義母が背中を向けていた碧衣に声を掛けた。
その際に、背中を強く押されたのもあって、よろめきながらも、碧衣の前に出る形になった。
「な……っ」
すぐに顔を逸らした時、一瞬だけ見えた、虚をつかれた顔をする碧衣を見た葵人は、合わせる顔が無いと、フードを出来るだけ深く被り、内股気味で様子を窺っていた。
フード付きポンチョで良かったと少しばかり思った。これで目を合わせずに済むし、ついでに言うと大きく開いた胸元が隠せる。
「·····なんなんだ、その格好は」
緊張と恥ずかしさで早まる鼓動を聞いていると、明らかに怒っているような声が聞こえ、ピクリと肩を震わせた。
「何って、可愛らしいでしょ?」
「…………っ、また、葵人の話を聞かずに無理やり着せただろっ!」
「いいじゃないの。似合っているのだから〜。可愛いでしょ?」
「だから……っ!」
「か・わ・い・い・で・しょ?」
「……ぐ……っ!」
まさにぐうの音が出ないというものだろうか、呻いているような声を出し、それ以上何も言ってこない碧衣に、してやったりな顔をした義母は、「ほら、ちゃんと見なさいよ〜」と言って、ぐいぐい碧衣の方へ押しやっていく。
「あ、あの……お義母さま……そこまで、していただか……──っ」
腰辺りに手が回されたかと思うと、碧衣の方へ引き寄せられた。
その勢いもあり、目深に被っていたフードがずり落ちてしまった。
被り直すが前に、この間でも怒りが爆発している碧衣のことを窘めなければと何か言おうとした時。
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