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「わぁ……」 小さく感嘆の声を漏らした。 鳥の巣のような木毛の緩衝材に包まれた、透明なハンドクリームの容器に、黄色い液体にキラキラとラメ状のものが中に詰められた物が収められていた。 「綺麗……」 箱から取り出し、うっとりとした表情で見つめていると、「葵人ちゃんなら、そう言うと思った」と微笑んだ。 「それな、ハンドクリームなんだ」 「容器的にそうなんだろうなと思ってたけど、こういうのがあるんだね」 「意外と、そういうのだけでも種類があってさ。しかも、どれもこれも葵人ちゃん好きそうだから、めっちゃ迷ったけど、喜んで貰えたようで、本当に良かった」 「うん、大切に使わせてもらいます」 石谷に笑いかけ、丁寧に箱にしまい、ぬいぐるみと共に抱きしめた。 「で、碧衣ちゃんのは──もがっ!」 「おい、秀。ダメだろ。それは二人きりの時にしておかないと。マジのガチで、碧衣ちゃん機嫌損ねに損ねるから」 「おおっ、そっか!そもそも俺らがいること自体、うざったく思っているみたいだからな! どんだけ葵人ちゃんのこと大好きなんだが──」 「──用が済んだのなら、出ていってもらおうか」 「碧衣君っ!」 もう今日で、何度目が分からない窘めをしていると、二人は「こわい〜」とわざとらしく抱き合っていた。 「そんなに出て行って欲しいなら、出て行きますよ〜だ」 「葵人のサンタコスが拝めたから、お暇しようぜ」 これもまたわざとらしいため息を吐いた二人は、立ち上がって部屋から出ようとした。 僕はまだ、二人に用があるのに! その思いが強かったせいか、引き止める声が思っていたよりも大きくなってしまい、驚いた二人と目が合い、「あ、あの……」としどろもどろになっていた。 「なんだよ、葵人ちゃん。俺らのこと構ってくれるの?」 「まだ二人に、クリスマスプレゼント、あげてないから……」 「えっ、俺らに? だって、葵人は……」 言い淀む石谷に、その言葉の先が何を言いたいのか、十分に分かった。 だから、「僕が自ら行って、買ったわけじゃないんだけど……」と前置きをし、 「代わりに、机の上に置いてあるプレゼントを受け取ってくれないかな」 「分かった」 「碧衣ちゃんが、どうしても葵人ちゃんを誰にも触らせたくないからな!」 「うっせーよ」 石谷は含み笑いをし、山中は無邪気にそう言うのを、碧衣は毒づいた。 「石谷君は黄色い方で、山中君はオレンジ色ね」と言って、代わりに手に取ってもらった。

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