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第3話

それから俺たちは妊活という名のナカ出しセックスに夢中になり、俺の夜勤の仕事がない限りほぼ毎日励んでいた。 それから1ヶ月が過ぎようとしていた頃、チロが雅美の妊娠を教えてくれた。 夜勤明けで寝不足だった筈なのに俺の目は一気に覚めた。 「えっ!?何で分かったんだよ、チロ」 「何でって…見えるからだけど」 子供たちの相手をしながら話すチロは不敵な笑みを浮かべて俺を見ていた。 「見えるって……」 「ココにね、いるんだよ。繋と雅美くんの赤ちゃん。ホラ、少し模様浮かんできてるでしょ?」 「わ……っ!?」 俺が半信半疑でいると、チロは雅美が着ているTシャツを捲りあげてそのお腹を俺に見せる。 言う通り、俺から見てお腹の右端にうっすらと一族の模様の一部が赤く浮かんできていた。 「これは正統な跡継ぎの子の証なんだよ。つまりこの子は男の子。おめでとう、繋、雅美くん」 「……お、おう……」 「はぁ……」 チロの笑顔に俺たちは顔を見合わせる。 信じられない……けど、夢じゃないんだ。 「とりあえずカムイたちにお礼を言いに言ってから久に報告して」 「わ、分かった。行ってくる」 「繋さん、オレも行きます!」 こうして、俺は雅美と親になる事になった。 一族が祈りを捧げる場所で雅美の妊娠を報告した後、その足で実家に向かい両親に報告する。 ふたりは喜んでくれて、今度両家でお祝いをしようという事になり、雅美の実家にも報告するよう俺に伝えてきた。 実家にある祭壇にも祈りを捧げ、俺を産んでくれた母、兄ぃ、コシンプにも報告を済ませると俺たちは帰宅した。 「皆さん喜んでくれていましたね」 「うん、そうだね」 祈りを捧げる場所で報告してたら妖怪たちも集まってきてくれて祝福の言葉を俺たちに沢山かけてくれた。 「オレたちの子、皆から愛されて育っていくなんて、すごく幸せな事ですね……」 「雅美……」 言葉とは裏腹に、どこか悲しそうな顔をしてお腹を撫でる雅美。 俺は背後からその身体を抱いて雅美の手の上に自分の手を重ねた。 「……ごめんね。君にだけ辛い思いをさせる事になっちゃうよね」 優しくお腹を撫でると、雅美が手を握ってくれる。 「いえ、繋さん、前にチロ先輩からお産の事色々教えてもらって普通のお産よりずっと楽だって言われてるんで大丈夫です。オレ、母に報告してきます」 そうして背伸びして俺にキスをすると、雅美は実家の御両親に連絡し、お祝いの会をする事になった話もしていた。 キスをする前に一瞬見せた、今までに見た事のない穏やかなのに力強く感じた顔。 それもまた綺麗だな、と俺は思ってしまったんだ。

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