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第7話
「うん、順調だね。夏のお祭りの頃には生まれるんじゃないかな」
「そうですか、ありがとうございます」
良かった、順調なんだ。
アッカムイの言葉に俺は胸を撫で下ろす。
「ねぇねぇ」
「はい?」
雅美にコートを着せていると、アッカムイが俺の腕に自分の華奢なそれを絡めてきた。
「毎月、ここに一緒に来たいの?」
「え、あぁ、はい。でも、それはしきたりに反するんですよね?」
上目遣いで尋ねてくる真っ黒な大きな目に、俺は嫌な予感を感じながらも応える。
「そうだけど、きみのカラダをぼくに捧げてくれたら特別に毎月一緒に来てもいいよ!」
「えっ!?」
何言ってんだ、この神様。
今まで色んな神様や妖怪と出会って話をしてきたけど、こんな事言われたのは初めてだ。
「言っておくけど、これから先、きみの奥さんの状態によってはぼくが奥さんの大事なトコロいっぱい触ったりするんだよね。もし奥さんが淫らなカラダしてるならぼく、イかせちゃうかも。そういうの気にならないっていうなら別にいいけど」
「な……っ……」
不敵な笑みを浮かべて言うアッカムイ。
クソっ、確かに病院とかで内診するって買ってきた雑誌にも書いてたけど、こいつ俺が言う事聞かなかったら絶対余計な事するかもしれないって言いたいんだ。
「神様でも言って良い事と悪い事があると思います」
俺がどう返答すべきか迷っていると、雅美が代わりに口を開く。
「雅美……」
「繋さんと毎月一緒に通えたら確かに嬉しいし安心です。けど、繋さんがオレ以外のヤツと関係を持つなんて絶対嫌です」
「じゃあ自分がぼくに挿れられたとしてもいいんだ?」
「ど、どんな風になったらそんな事になるんすか?普通じゃ有り得ない話だろ」
雅美に対しても揺さぶりをかけてくるアッカムイ。
なんつー神様なんだ、こいつは。
っていうか雅美に挿れるだって!?
そんなの絶対嫌だ。
「可愛いねぇ。きみ、繋くんの初めてになれなかったの嫌だったんだ。妖怪と経験しちゃってからのきみだもんねぇ。安心してよ、ぼくは繋くんに挿れて欲しいんじゃなくて、繋くんに挿れたいの。こんな立派なカラダしててかっこいい繋くんがぼくに挿れられて善がってるところが見たいんだよ」
アッカムイはその笑みを浮かべたまま、空いた手で俺の臀を撫でながら話す。
その動きに、俺は背筋がゾワゾワしていた。
「か、勝手な事ばっか言うんじゃねぇ!!」
「雅美、落ち着いて!!」
アッカムイに殴りかかろうとするその身体をすんでのところで受けとめる。
「繋さん、こいつ神様だからって好き勝手過ぎます。オレの事は別にいいんです。でも、繋さんに挿れたいだなんて……そんなのオレ……絶対嫌っす……」
俺を見て話すその瞳の端には涙が滲みはじめていた。
あぁ、めちゃくちゃ可愛い。
このちょっと泣いちゃってる顔、大好きなんだよな。
「俺だって俺以外の奴に大切な君を好き勝手されたくないよ、雅美」
「繋さん……」
俺はアッカムイを完全に無視して雅美を抱き締めていた。
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