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春夏秋冬 11話 秘密を暴きたい
「夏目くん、おはよう」
「あ、おはようございます」
席にはすでに夏目がいた。
「会社来るの早いね」
「今日ちょっと見たいテレビあったので、早起きしました」
「え? なんのテレビ番組?」
「あ、アニメです、僕そういう系好きで」
「そうなんだ、オタクってやつかな?」
「世間体はそうかもしれません」
ハハと軽く受け流している。
「悪い、たまに人の嫌なところついちゃう癖があって、気にするなっていうのは無理な話だよね……」
「あ、いえよく大学生の頃は言われていたので気にしてないですよ」
「そっか」
「おーい秋!!」
「おはようございます、矢島さん」
「はよっ、ちょっとここのツールどうにかしてくんない?」
「分かりました」
システムエンジニア部にいたからかこういうことはよく頼まれる。
今時Python とかを使う事務部なんて珍しいと思う。
マクロは使うことあるな。
カタカタとコードを入力して矢島さんの仕事が終わると夏目の近くに行く。
だが、俺のカバンからはなにやら怪しい物が出ているのを夏目がちらちらと見ていた。
ばっとカバンにしまう。
「見た?」
「すみません、そういうご趣味がおありなんですね」
「……うわぁ、めっちゃハズイ、ごめんね」
「いえ……」
夏目と目を合わせづらい。
昨夜、媚薬で苦しく、車でしたあと冬園の家まで行って散々抱かれて、ちょっとした出来心で精液が入ったゴムをバックにいれた。
無造作に入れていたからバックが倒れた瞬間に中身が見えてしまったようだ。
ピコンと会社パソコンにメールが届いた。
『見てしまったかわりに教えてほしいのですが、昨日新宿、歌舞伎町のシフォンってお店にいましたか?』
と隣の夏目からきた。
「え?」と思わず口に出してしまった。
「どうしました?」と向かいの女性社員に言葉を拾われ
「あ、大丈夫だよ」と伝えると隣の人との会話に戻った。
ちらっとこちらを見る夏目と目があう。
こいつどこまで知ってる??
俺が昨日壁穴を体験したことをもし知って、いや客だったか?
こちらからは客の顔は見えなかったから確証はないがメールに返信する。
『新宿歌舞伎町にはいたけど、シフォンって店は知らないな』と書いて返信した。
どこまで知ってる、知らないというよりも俺の性癖を会社の人に知られることが一番まずい。
すでに春風さんとは会社でHしているが。
『そうですか』と一言返ってきた。
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