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第2話

第一章  ジャラリジャラリと鎖がなる。  其処に囚われていたのは一人の男だった。  鮮やかな金の髪に瞬く碧の瞳。  人族の唯一のカナール王国最強の五大将軍の一人雷電将軍アルバである。  彼は両手を頭上に上げた状態で鎖に繋がれていた。  その腕には漆黒の「魔封じの腕輪」。  この腕輪をつけられた者は魔力、体力を吸われ一定以上回復することはない。一つでもつけられれば致命的な物を両腕に一つづつ、つまり二つつけられていた。  其処へ一人の男が入ってきた。  それは人族の男だった。   漆黒の髪に暗い紅い瞳。細身だがしなやかな筋肉のついた体。  名をアレフ。  カナール王国の下級騎士ながらその実力は将軍に迫るのではないかと言われる男。  そして彼は常に無表情であり、誰も信用しないことで有名だった。  そっけなくどんな過酷な戦場であろうと必要となれば助けも呼ばず一人で乗り切り、その目は暗く誰一人として寄せ付けようとはしなかった。戦場であれば馴れ合いも必要となる場面がどうしても多くなる。だがアレフはたとえ自分が危険な戦場に立とうとも誰も寄せ付けぬ姿は誰よりも孤高だと有名だった。  そんな男が魔族と手を組むかもしれないと誰が想像しただろう。  アルバが部下を率いて人と敵対する魔族の将軍、魔将軍ディストの城を部下を率いて攻めていた時だった。全ての部下が城のフロアに入ったときそれは起こった。  暗く光る足元の魔方陣。  瞬く間に消える部下。   残った自分とアレフ。  後ろから襲った衝撃。  黒くなる意識。  気がつけばこの部屋で囚われていた自分。  導き出せる答えはひとつ。  裏切り――――。  「部下はどうした?」  「おや、その状態でも部下の心配ですか。 さすが部下からの信頼厚いアルバ将軍ですね。」  「いいから答えろ!」  未だに脳裏に残っている消えていく部下の姿。その行方が心配で鎖を引きちぎらんばかりに叫んだ。  「私も聞いた話ですがディスト魔将軍の治める魔都に送られたようですよ。」  魔都とはその名のとおり魔族たちの治める都市の中心部だ。  其処に送られたという事は―――――。  「ディスト魔将軍、自分の治める土地の人間の奴隷を探していたそうで。 軍人で将軍クラスの部下なら頑丈でかなり持つだろうと、大層喜んでいましたよ?」  「貴様・・・・!?」  俺は目の前が真っ赤になるのを感じた。   大事な部下が奴隷にされる。 許せることではなかった。  だが・・・・。 「怒鳴るのは構いませんが他を気にする余裕が貴方にあるのですか? 今の貴方はそこらの村人と同等か、それ以上に弱い。  それに気がついているのでしょう? 自分の体の変化に。」  気がついてはいた。  あらぬ体の熱に。  手枷の冷たい感触にすら、装備は外されていたが身を包む服の衣擦れにすら敏感に感じ取る身体のことも。  「俺に何をした!!」  「私は何も。」  そう言ってアレフは近づいてきた。  「く、くるな!」  そう言って思わず逃げをうとうとするも手枷のせいで動けない。  そんな俺に構わずアレフは俺の頬を撫でる。  その手にすら感じながら  「魔族が貴方に媚薬を飲ませたと言うのは聞きましたがね。」  と言う声を聞いた。  「しかも魔族しか作れない特別性らしいですよ。  ココ。」  そう言ってアレフは下腹をゆっくり撫でた。  「ココの中に精を受けないと解毒できないそうですよ?」  「なっ!?」  クスクスと普段変えない表情を変えながら笑われた俺は羞恥と絶望しか感じなかった。  「さぁ、始めましょうか?」  狂宴の始まりだった―――――――。

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