147 / 304
2−22
「それに、ヒロが俺達の子だと簡単に証明する方法はある」
「?」
「陛下も仰っていただろう?」
指先がちょいちょいとくすぐるように顎を撫でるから、思わずきゅっと体を縮込めた。
無骨な と言うより、様々な物を守って来たのだと暗に語る皮膚の固い手が、オレに触れる時は特にそろりと動くのを知っている。
「もう一人産めばいい」
さらりと出た提案はあまりにも簡潔すぎて、逆にオレの中に飲み込むには時間がかかりすぎた。
そうか、ヒロに兄弟か……なんてことをひとしきり考えてから、クラドの言葉の裏にある意味に思い至って体が飛び跳ねる。
硬いクラドの腿はオレが跳ねた位じゃびくともしなかったけれど、オレの考えがやっと真意に辿り着いたことに気づいたのか、喉の奥で笑うようなくつくつとした音がクラドの方から聞こえた。
「今度は逃げてくれるなよ?ここで俺の子が育つ楽しみをはるひと分かち合いたい」
そう言うと腕にぎゅっと力が籠って、オレの臍の辺りを大きな手が撫でる。
「や……その、 」
すり と頬ずりされながら腹を擦られると、その奥がジリジリと火にあぶられたかのように焦れる感覚がして、慌ててその腕から逃げるように身を捩った。
「あのっそれはっ……ヒロがもう少し大きくなってから」
顔に血が集まって赤くなってしまっているのが分かって……小さく体を縮めて、クラドの視線から逃げるように俯く。
小さく零れ続けている笑い声で揶揄っているだけだってわかってはいるけれど、その揶揄いの中に含まれる行為に平然と応えられるほどそう言った揶揄いには慣れていなかった。
ちょいちょいと促すような指に促されて顔を向けると、赤くなっている自覚のある頬にちゅっと微かに口づけてくる。
「本当に?」
「ほ、本当です」
「さっきから、いい匂いがしているが?」
心の機微まで分かると言う匂いがオレにはわからないせいか、クラドがどの匂いを嗅ぎ取ってそう言ったのかは知らないけれど、心当たりがあるせいか反射的に厚い胸板を押した。
ここが王城だったとしたら、このまま……とあさましいことを考えなくもないけれど、今いるこの場所は自分達の普段生活する場ではなく。
ましてや、客として訊ねてきている身でベッドを汚してしまうような粗相をするわけにはいかなかった。
「だからっ……そう言うのは帰ってから、です」
かぁっと顔がますます赤くなるオレの顔をしげしげと見て、クラドはやっと満足したのか少しだけ手の力を抜く。
腹の上に置かれたその手を包み込むように握り締めて、聞いていいものかと逡巡してからそろりと言葉を紡いだ。
ともだちにシェアしよう!

