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「落ちるぞ?もっと真ん中に座ればいいだろ。おい、ネクト、しっぽ邪魔だって!もっとこじんまりと座れよ」  そう言うと容赦のない動きで陛下を押しやり、オレに真ん中を勧めてきた。  指差す先に座るのは……簡単だ。  ミロクもいるし、ここで昼間のようなことをされることはないだろうけれど、こちらを見る冷ややかな陛下の目に思わず竦んで首を振る。 「ここで、いいです。ミロク様こそお座りになってください」  オレと陛下の間の座面を見詰めてミロクは訝しむように眉をしかめると、オレを見た後にぎっと音がしそうなほどの勢いで陛下を睨みつけた。  反射なのか、それともミロクの視線に質量でもあるのか、陛下の尾がぶわりと逆立って…… 「お前、こいつになんかしただろ」  倍の太さになった白と黒の尾が落ち着かなげに左右に振れて、青い瞳がふいと逸らされる。 「ネクトっ!」  野太い声はびりっと空気を震わせて、地下の部屋に響き渡ってわんわんとした音を残す。  腕の中のヒロが驚いて一瞬呆けた顔をして、救いを求めるようにオレに視線を送り、手をばたばたと伸ばしてくる。本能的に何かを感じ取ったらしいヒロを慌てて抱き締めると、ミロクはドンドン と床を踏み鳴らしながら陛下の目の前まで言って仁王立ちに立つ。 「まったっ っっ またかっ!今度は息子の嫁さんにまで手を出したのかっ!」 「出してない。未遂だから」 「未遂っつーことは出す気満々だろっ!言ったよな?はっきり言ってたよな!?今度お前が隠し子連れてきたら別居するつって!」 「子供はまだ作ってはな  ────っ」  言い訳になっていない言い訳を口にしようとした瞬間、ミロクの足が陛下を蹴り倒し、まるで汚物でも見るような目で一瞥してからこちらに向かってがばりと頭を下げた。 「すまんっ何かあったんだろ⁉こいつの手癖の悪さは良くわかってたはずなのに、無神経なことをしちまったな」 「いえ あの、  」 「こいつは今すぐ外に放り出すからゆっくりしてくれ」  そう言うとオレの返事なんて待たずに、床に転がったままの陛下の首根っこを掴んで一階へ続く階段をのしのしと上がって行く。 「今夜は雨が降るらしい。勘弁してくれないか」 「屋根はできてる」 「壁はまだだっただろう。今度にしてもいいんじゃないか」 「屋根があるだけ感謝しろよ、クソがっ」  圧倒的な体格差があるせいか、陛下は抵抗らしい抵抗もできないまま連れて行かれて……  ヒロが不安そうな声をあげてミロクに向けて手を伸ばすから、仕方なく後についてそろりそろりと一階へと戻る。

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