190 / 304

2−65

 少しざらりとした掌が敏感な部分をなぞると、過ぎた気持ち良さについ身を捩ってしまって……  それを嫌がったと取ってしまったクラドは触れないようにしてくるから、焦れて自分から触って欲しいと強請ってしまう。  丹念に奥を、先端を、不器用そうな指が様子を窺いながらゆっくりと愛撫して、はしたないってわかっているのに声を上げてもう限界なのだと訴える。  自分を求めるクラドの熱が……  身の内側を満たす至福感と多幸感が…… 「ぁ  」  ぶるりと体が震え、条件反射のように思わず小さな声が漏れた。  熱を含んだ息と共に吐き出したそれはどうしてだか自分の声に聞こえず、それよりももっと掠れたような甘くて高い声だった。 「   ────え 」  はっと視界が開けた瞬間、オレの目の前に迫っていたのはイトミミズのような触手を太くしたようなものだ。  わずかに透明感があるような、明らかに生き物にあってはおかしい色味の触手がじゅるじゅるとオレの足に巻き付いていた。  喉の奥に張り付いた悲鳴は音にすらならないと感じたのに、壊れた笛を力いっぱい吹いたかのような甲高い悲鳴が溢れる。  ソレ は、森の中で自分に向けて伸ばされたモノだ。  明らかに人外の形を取っておきながらそれでも人とよく似た姿でこちらを見つめてくる。 「あ、こら、浮気しないで」  ハスキーなのに甘い声が言うと、オレの足を伝いあがっていた触手がびくりと震えてするすると撤退していく。  その動きに沿って視線を上げて…… 「わっ」  不可抗力で見てしまったそのことに対して、恥ずかしさで顔を覆った。いや、覆おうとしたところで手首に縄がかけられていることに気がついた。  目の前の裸の青年も気にかかったけれど、自分が拘束されているって言うことに気が行ってしまった。  解こうととっさに手を伸ばそうとしたけれど、反対側も同じように拘束されているんだと知るだけだった。  何が?    オレは……連れ去られて…… 「オレ……」  それから?  幾ら考えてもそこから先の記憶はなかった。 「ほーら、こっち」  耳を打つのは甘い声と、粘膜をまとった触手がじゅるじゅると立てる音ばかりだ。  腕を引いてびくともしないのを堪忍して、もうオレにできることはないと理解してやっと、目の前の光景に視線を戻すことができた。 「…………」  触手がこちらにくる時だけ、その青年の意識はこちらを向いたけれどそれ以外はまるでオレがいないかのような態度だ。  鮮やかな光を弾く金色の髪と、薄暗いせいかはっきりとはわからないけれど青い瞳の青年。  横顔は彫刻のように綺麗なのに、その表情は行っていることのせいか上気してひどくいやらしい。  

ともだちにシェアしよう!