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 頭が真っ白になった瞬間、とっさに火薬玉をエステスの方へと投げつけた。  対魔物、対魔人用に作られたそれを人に向けるなんて言うことは暴挙だと理解はしていたが、それでも俺は止められなかった。   「何をっ⁉︎」  鋭い声は制止の感情を含んでいたが間に合うはずがない。  それを止められるとしたら…… 「あ゛、 あ゛、あ゛あ゛あ゛あ゛っ‼︎」  奇声を上げた魔人が伸ばした触手がエステスを庇い、そして爆発に身を焼かれてのたうつ。  俺は今、明らかに戦闘能力を持たないエステスを狙って、しかもそれを魔人が庇うであろうこと見越して攻撃をした。   「……卑怯と、おっしゃて頂いてかまいません」  聖別した火薬の火にあぶられた触手は力なく地面に転がっている、それに剣を振り下ろして切り落とすと、また魔人の悲鳴が上がった。 「けれど、俺は俺の番を傷つけたものを許すつもりはありません」  ぎ と奥歯を噛み締めると音が鳴る。  この魔人が、自らの体を治すためだけにこんな山にはるひを連れ去り、ナイフで切りつけ、血を啜り、あまつさえ脅す材料に使ったんだ。  ……許せるわけがない。  長剣を構え直して視線だけで次の行動をダンクルに告げると、眉間に皺を寄せながらもダンクルは頷いてさっと走り出した。  触手に覆われていて見えなかったが、魔人の片足も再生してしまっているようだ、ゆらりと蜃気楼が立ち上がるかのように身を起こした魔人は……  見上げなければならないほどの大きさだった。 「な っ」  今までうずくまっていたから高さはわからなかったが、それでもこちらに這ってくる姿を見ればだいたいの身長の目星はついた。  けれど、今立ち上がった魔人の背丈は、ダンクルよりもはるかに大きい。  しかも背を丸くしている状態だから、それが伸びれば……  見たことのないような大きさになるのは間違いがなかった。 「  っこれは……」 「かつて王宮を襲った魔人も巨大だったと伝え聞いたことがある」    ダンクルの言葉に俺はぞっと背中に冷たいものが這いまわるような気配を感じ、ぶるりと身を震わせる。 「あの時は……どうやって倒したのかご存じですか?」 「はは、そりゃ……歴史に残るほどの全戦力投入だろ」  魔人を見上げて尾を膨らませたダンクルに言われて、そうか……と右手に力を込めた。  もう相打ちしかないのかと思ったところにスティオンやダンクルが現れ、もしかしたら無事にはるひ達の下に帰ることができるんじゃないのかと希望を持ったところだっただけに、ダンクルの言葉に心が削られてしまうのがわかる。  どん と魔人が踏み出した一歩は、残りの足も再生しているのだと見せつけるかのようだった。  

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