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 いつもは見下ろすはずのはるひの顔を見上げて、その手を取って優しく撫でた。 「ク クラド様⁉︎」 「はるひは全力でヒロを守った、それはとても勇気のいることだしその判断をすることができたことを俺は誇りに思う」  ずるりと崩れ落ちるようにはるひはうずくまって…… 「懐に入れて守り続けるのも愛だろうが、離すことで守ることのできる愛もあるだろう」 「でも……」 「ヒロのことを思うからこそできた選択だろう? 誰もそれを咎めはしないし、はるひは誇りこそすれ気に病む必要はない」  小さな子供のように見えるはるひを抱きしめて宥め、落ち着いた頃に共に目の前の扉を叩いた。  扉を開いた先はエルがヒロのためにと用意してくれた子供部屋で、動いた空気に押されて宝石をあしらった星のオブジェがくるくると回って光を弾く。  その下で、母ロニフの腕から逃げ出そうともがいているヒロの姿があった。  必死の形相のせいか顔は真っ赤で、暴れているために振り回した手で乱れたのか母の髪が乱れている。  扉の前にいた俺達の気配がわかっていたのだろう、ヒロは今にも爆発しそうな程に必死の形相だ。 「あーぅ!」 「ヒロ!」  言葉と言えるほどはっきりしてはいなかったけれど、ヒロのその調子で発する言葉ははるひを求めている時に出す言葉だった。  さっと伸ばされた手にはるひは何の躊躇もなく駆け出して、ヒロを抱きしめて言葉を詰まらせた。 「ヒロっ! ヒロごめんねっ!」 「 う?」  ぎゅーっとはるひにしがみついて満足しているらしいヒロは、はるひがなぜ謝るのか、なぜ泣いているのかわからないらしくきょとんとしている。  ヒロをはるひに手渡した母は俺の方を見て頷いた後、はるひに向かって深く頭を下げた。 「はるひ様、無事の御戻りをコリン=ボサに感謝いたします」 「ロニフ様……体は? 怪我をしていたのにヒロを見ていてくださったんですか⁉︎」 「はるひ様をお守りできなかったことに比べたら怪我なんてあってないようなものです。はるひ様がお戻りになるまでは私が責任を持ってヒロ様をお守りすのは当然でございます」  そう言う母は侍女と言うより乳母めいてはいたが、子育てをしたことのない母がどこまでヒロの面倒を見ることができていたのか心配になってヒロを覗き込んだ。  けれどその先にいるのは、ふっくらと美しい頬をして爛漫とした何も憂いのない表情ではるひに抱かれているヒロで、俺達のいない間に何も不足がなかったことを教えてくれた。  荒事ばかりをやってきた母の息子ですら知らなかった一面を見た気がして、戦いだけでなく育児面でも尊敬の念を抱く。 「閣下、おかえりなさいませ。お戻りをお待ちしておりました」  表情の乏しい顔でそう言われると昔は本当だろうかと疑いもしたけれど、母は母なりの不器用さを持ってオレと向かい合おうとしてくれていたんだと思うとそれも素直に受け入れることができる。

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