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落ち穂拾い的な 子供は

 うっとりとしていた両目がはっとしたように開いて、様子のおかしさに首を傾げたオレに「しっ」と指を一本立ててくる。  今日の検診でもスティオンからは特に何も告げられなかったので呑気にしていたが、クラドがこんな様子を見せると言うことは…… 「  っ」 「  ……」  がばっとオレの腰を抱え込んで……もっと音が聞き取れないかと頭を押し付けてくるクラドになんて言葉をかけていいのかわからず。  体内の音を聞き続けるクラドの様子にどんどんと嫌な予感ばかりが膨らんでいく。  ヒロは無事に産めたけれど、それが当然ではないと言うことをもっと真剣に考えるべきだった……と、涙で滲んだ視界で思う。  何があったのか、クラドがおかしく思うようなことがそこにあると言うことに震えて、涙がぼろぼろと零れてしまう。  それがクラドの頬に落ちて…… 「は  は⁉︎ はるひ⁉︎ どうして泣いているんだ⁉︎」  頬に落ちた雫にクラドが飛び上がって取り乱す。 「ク、クラド さ まがっ……」 「俺⁉︎ 俺が原因なのか⁉︎」 「だ だって  っ」  真っ青になって慌てるクラドを見て泣き止まなければと思うのに、どうしてだか泣き止もうとすればするほど涙が溢れて止まらない。  ひぃひぃと合間合間に息を吸うけれどそれも途切れがちになって、息苦しさに胸が苦しくて呻くようにクラドに縋りつくしかできなかった。      夜着もためか生地が薄いのかたゆんとしたものが今にもカーディガンから零れ落ちそうだ。 「落ち着かれました?」  夜中に叩き起こされたと言うのにスティオンは嫌な顔一つしないまま、気持ちが穏やかになるから とハーブティーを淹れてくれる。 「  っ……すみません……こんな時間に」 「いいんですよ、不安や異変を感じたらすぐに呼んでもらえれば。それが私の仕事なんですからね?」  とは言え、血相を変えてオレを抱えて医局に飛び込んだクラドを叱り飛ばしていた姿を見てしまうと、オレは小さくなるしかない。 「スティオン、どうなんだ? わかったか⁉︎ はるひは⁉︎ いきなり泣き出したんだ! 何が  っお前ヤブじゃないだろうな! ちゃんとはるひのこと   」  紳士にあるまじき態度でスティオンの肩を掴んだクラドが力の限り、その華奢な体を振り回す。その様子は傍で見ていて止めなきゃと思わせるほどで、オレはおろおろとどう仲裁したものかと困り果てていた。 「いい加減にしろ!」    バンッ とトレイを投げられて、それを受け止めながらクラドが目を白黒させる。 「閣下がっ取り乱しすぎなんですよっ⁉︎ 閣下がはるひ様を不安にさせてどうするんですっ⁉︎ 妊娠してると泣きやすくなるんですよっ不安定な時に不安になるようなことしないでくださいな!」  一気に言うとスティオンは「はぁ」と気が済んだとばかりに息を吐いた。 「とは言え、閣下。よくこの週数で気づかれましたね」  そう言うとスティオンは微苦笑を零しながら説明を始める。    後に世界に名を轟かせる「双黒の剣聖」を語る最初の出来事であった。   END.

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