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第8話(トム)

「ハニー」 人工知能のハニーはエレナの次に優秀だ。 「おはようございます。トム様」 さてカイトを送り届けたら仕事の時間。 「おはよう、早速だけどビルに繋いでくれ」 「アメリカ航空宇宙局NASA長官のクラレンス・ウィリアム•ビル•ネルソン氏ですか?」 「ああ、そのビルだ」 「お繋ぎします。少々お待ちください」 「やあ、トム、どうした?」 「ネルソン長官、例の件で大統領と話はまとまりましたか?」 「交渉は難航しているよ。大統領の返事も芳しく無い。やはり現状では各国からの反発は非常に大きいだろうな。議会の承認も今のところ3割が限界だな」 「そうですか。 こちらは諸々準備は整いましたので、本日午後からの会議ではこちらからも説明します」 「トム、頼んだよ、期待している」 「ええ、では後ほど」 アメリカ政府やNASAとの共同事業である月面コロニー計画。 我が社の抱える現在進行形の事業で一番デカイ仕事だ。 月面への長期滞在型コロニー建築。 我が社の看板企業までに成長したスペースラボ社が手掛ける。 宇宙開発産業はこれからもっと進化し拡大する。 そして激化する。 地球では今までの長い歴史で領土や主権を争い戦争と虐殺が長く続いてきた。 そして、愚かな我々人間達は必ず宇宙開発でも争うだろう。 その為に、月面コロニー基地には新型弾道ミサイルの配備を進める予定だ。 元軍人でもあるネルソン長官は賛同している。 勿論、ミサイル配備となれば国内外からの反発は強い。 でも、僕は知っている。 人間は皆愚かだ。嘘をつき、人を騙して陥れる。 だが僕は騙されない。 皆んなの笑顔の仮面の下を知っているからね。 ワシントンにあるNASA本部へと向かうため車を加速させた。 「ハニー、今度はエレナに繋いでくれ」 「はい」 「社長、どうしました?」 「君に頼みがあるんだ」 「なんなりと」 「デートしたい」 「は?」

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