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第9話(マイク)

「あっ、ん、ちょっとまっ」 スティーブはキッチンテーブルに押し倒すとキスで口を塞ぐ。 リビングとダイニングキッチンには隔てる壁もドアも無い。 「ブライアンに聞こえっ」 今は眠っているみたいだけど、ブライアンがいつ目を覚ますか分からない。 「じゃあキスしてて」 キスしたまま着ていたセーターをたくし上げられた。 「ひゃ」 スティーブの冷えた指が胸元に触れて、ビクッと身体が反応した。 「ちょっと待っ」 息継ぎ出来ない深いキスにジタバタする手足もガッチリ押さえ込まれた。 「んーんー!んー!」 キスされたまま抗議してもビクともしない。 熱くなった下半身をグッと押し付けられる。 スティーブは片手で軽々と俺の腰を浮かせてズボンを剥ぎ取った。 本気?!このままする気?! 手首をグッと掴まれて、前にスティーブの家で酷く抱かれた時の事を思い出した。 コレって、今、スティーブは理性を失ってる? 現にいつも優しく丁寧に扱ってくれるスティーブは俺のセーターを無理やり引っ張るとそのまま脱がせた。 はぁはぁ スティーブの荒い息遣い。 「うっあっ!」 いつの間にか下着も脱がされた。 このままは流石にスティーブのを挿入するのは無理! 怖い! 「まっ、待って」 貫かれる恐怖に身体が竦む。 「マイク、、、」 スティーブの手がピタリと止まった。 「本当にごめん」 我に帰ったスティーブは真っ青だ。 「スティーブ」  「僕はなんて事を、、、」 「スティーブ、、、」 スティーブは床に脱ぎ捨てられた俺の服を拾うと、乱暴に脱がせた服を今度は優しく着せた。 「頭を、、、冷やして来る」 スティーブはそのままバスルームへ向かった。 バタンッとドアが閉まる音が、虚しく響いた。 俺は唖然としたままキッチンに取り残された。 何が起きた? いつも穏やかなスティーブ。 いつも優しいスティーブ。 彼が理性を失ってしまうのは俺が原因なのか? はぁー。 深い溜息。

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