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第14話(スティーブ)
「スティーブ、、、中国から戻ったら話したい事がある」
料理の味がしない。
マイクに言われて僕は酷く動揺している。
なるべく顔に出さないよう、食事をしながらマイクと会話を続けた。
恐らく、、、僕のプロポーズにマイクから何某かの答えを貰えるんだろう。
とうとう。
どんな答えでも、僕は生涯マイクを愛すると自分自身に誓った。
でも、、、
マイクがそれを望まなかったら、、、?
僕は生きていられるだろうか?
「スティーブ?」
「ごめん、ボウっとしてた」
「俺が片付けておくから、先にベッドにどうぞ。明日は早いんだろ」
「え?ああ、ごめん、ありがとう」
僕はお言葉に甘えて先にバスルームで身支度を整えてからベッドに入った。
マイクの寝室はいつもラベンダーオイルの香りがする。
このベッドは僕がここに頻繁に通う様になってマイクが大きめのモノに買い替えてくれた。
シーツ類は一緒に選んだ。
僕の私物はマイクの家にどんどん増えていった。
いや、増やした。
マイクの生活に僕自身を溢れさせる為に。
マイクが簡単に僕を手離さないように。
部屋の明かりを消してベッドサイドのライトだけを灯した。窓から外を見ると帰宅した時よりも雪が積もっている。
視界は一面真っ白だ。
マイクと出逢うまで、僕の人生も真っ白だった。
ルビーには愛情を持って育てて貰ったとは思っている。
でも僕の孤独は埋まらなかった。
僕の心には決定的に何かが欠けていて、深い愛も悲しみも、理解出来なかった。
マイクは、、、僕の世界を色鮮やかで鮮烈なものに変えてくれた。
生きていると実感できる。
マイクは誰にも渡さない。
ブライアンにも。
「まだ起きてた?」
「うん、片付けありがとう」
「ブライアンの様子は見て来たけど、まだ眠ってる」
マイクもベッドに入ると僕の隣の定位置に横になる。
「そうか。明日から僕が居ない間、ブライアンを頼むよ」
「仕事の合間に様子はちょくちょく確認する。何かあればスイーツ博士に連絡すれば良い?」
「ああ、ライリーなら信用出来る」
「仲良いんだ、スイーツ博士と」
「どうかな?彼は医師としても人としても信用はしてるよ」
「すごくキレイな人だよね」
やけにマイクがライリーを気にしている?
「ヤキモチ?」
マイクの珍しい反応。
僕から目を逸らした。
図星を指されたのかマイクは返事をしない。
「ライリーの事は何とも思って無いよ。僕は君しか見えない」
「ごめん、つい君たちが並ぶとお似合いだなって思って」
「ヤキモチ焼かれるのは嫌じゃ無いけど、僕をこんなに夢中にさせるのは君しかいないよ」
キスをしてマイクの頬に触れた。
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