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第15話(カイト)
「ビリビリ君こっちこっち」
授業が終わってグラスゴー博士にWIAから支給されている通信機で連絡した。
大学の地下深くにあるWIAの施設。
いつもは通学に真っ直ぐにしか行かない廊下を今日は角を二つも曲がった。
「ちょうど良かったよー!AGM型鉛蓄電池が調子悪くて。君のビリビリを少し貰えるかな?」
「は?俺はコンセントでも充電器でも無いんだからな」
「君なら2億ボルトぐらい楽勝でしょ?」
「人を充電器扱いすんなよな」
と言いながらも協力してしまう。まあ、こいつには電気を制御するためのブレスレットを貰ったばかりだ。
「どこに電気流せば?」
「これ」
「え?」
サイズはビー玉ぐらいだ。球体をしていて細い線が編み込まれ小さな基盤が真ん中に少し見える。
「AGM型鉛蓄電池を僕が超〜小型化したんだ」
グラスゴー博士が軽く突くと、球体が開いた。
「形状も変えられるようにしたから平たくもなる」
俺の親指の上にAGM型鉛蓄電池を乗せる。
「ビリビリっとお願い」
「りょーかい」
指先に力を入れて、出来るだけ電池に向けて電気を集める。
指先で電気がスパークするのを制御しながらAGM型鉛蓄電池に電流を流し込む。
「どう?」
集中しないと、こんな小さな的に向けて電気を流し込めない。
少し嫌な汗。
「いい感じ。ありがとう」
ふぅっと小さく息を吐いた。
「こんな小さい電池あるんだ。ボタン電池みたいな感じ?」
「これ一個でニューヨーク一日分の電力を賄えるぐらいのパワーがあるボタン電池みたいな感じかな」
「全然ボタン電池じゃないじゃん」
「ニューヨーク支部の上空には放射線やレーザー攻撃に備えたプラズマシールドを配備してるんだけど、電力の供給が大変で。僕がAGM型鉛蓄電池を小型化したんだよ。君が居たらわざわざこんな事しなくて良かったなぁ〜」
「一家に一台みたいに俺を使うなよ」
「君がずっと居たらなぁ」
「まだ言うか?」
「早くニューヨーク支部に来なよ。僕友達少ないから寂しい」
どうやら本気で友達認定されてるらしい。
「それに、電気に困ったらビリビリっとお願い出来るし」
ん?やっぱり充電器扱いか?
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