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第19話(カイト)
帰宅して寝室でNetflixをダラダラ見ているとドアがノックされた。
「カイト、少しいいかしら?」
トムの有能美人秘書エレナだ。
「いいよ」
ベッドから身体を起こす。
「今日は社長。帰宅時間は0時を過ぎるそうよ。あなたには先に寝てくれって言ってたわ」
「そうなんだ」
俺に直接連絡したらいいのに。
「それから明日からしばらく社長は中国へ行くので朝と夕方の送迎はウィルに。帰宅が遅くなる様な場合には私にも連絡を入れておいて。社長に報告しておくから」
なんか、やっぱすげー子供扱いされてる?
トムやエレナから見たら俺なんて子供みたいなモンだよな。
だから、、、シテくれないんじゃねーの。
俺がお子様だから。
エレナみたいな大人の女性なら、、、
「カイト?」
「ごめん、何でもない。分かった」
エレナは少し躊躇った後にゆっくり口を開いた。
「ここへ来た事、後悔してる?」
「え?」
「社長、、、トムはちょっと強引な所があるのよ。あなたはまだ若いし、、、その、、、ストレートなんでしょ?同性の年上男性とお付き合いするのはリスクが高いと思うの」
「エレナ?」
「離れている間に少し考えてみて。私はあなたがどんな答えを出しても協力するわ」
「エレナは何で、、、」
駄目だ俺の英語の語彙力じゃ、上手く言えない。
どんな意図があって俺のトムへの気持ちを確認してくるのか?
エレナは察したように少し微笑んだ。
「私もあなたぐらいの時に、初めて同性の恋人が出来たの。色々と自分も葛藤したし、苦労もした。まるであの頃の自分を見ている様で、あなたをほっとけないのよ。
お節介なのは分かってるわ。でも、短い期間でもトムがあなたに惹かれたのが良く分かるぐらい、あなたは良い子よ。
何かあれば力になるわ」
「ありがとう」
俺の語学力じゃ、全然駄目だ。もっと色々エレナに伝えたいのに。
「じゃ、おやすみなさい」
「おやすみ」
コレしか言えない。
自分が情けない。
俺、ちゃんとトムが好きだ。
でも、ちゃんと伝わってるのかな?
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