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第21話(マイク)
朝、目を覚ますとスティーブは居なかった。
スマホを見るとスティーブからのメッセージが入っていた。
【起こさずに先に出るよ。
しばらく会えないけど、北京に着いたら連絡する。通信機はいつでも鳴らして。
ブライアンを頼む。
君を愛してる。】
メッセージに返信してからリビングへ行くとブライアンが起きていた。
「大丈夫?」
「ああ、水くれるか?」
「待ってて」
ミネラルウォーターのボトルを渡す。
「口移しで飲ませてくれねーの?」
「しないから、さっさと飲んで!朝食は?何か食べられる?」
「少しなら」
「準備するから横になってて」
「了解」
ブライアンは大人しくソファーに倒れ込む。
まだ身体が辛いんだろう。
こんなに大人しいブライアンは珍しい。
キッチンに戻るとバケットをオーブンで温め、バター、蜂蜜、コーヒーを準備して戻った。
「美味そう。それにお前のコーヒー好きだ」
「どうぞ。食べたら痛み止めを飲んで」
ブライアンはいつもの不遜な態度の方が落ち着く。弱っている姿は見てられない。
「ありがとう」
「素直じゃん」
「たまには」
「俺は下で開店準備してるから。何かあったらWIAの通信機を鳴らして」
「もう行くのかよ」
まるでブライアンが子供みたいだ。
「行くよ。良い子で寝てな」
立ちあがろうとした腕を捕まれグっと引き寄せられた。
胸元に引き寄せられたけど、重症のブライアンをいつもの様に振り払えない。
「良い子で寝てたらご褒美があるんだろ?」
「ちょ、調子に乗るな!」
傷に触れない様に気をつけて離れる。
やっぱり、ブライアンは要注意!
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