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第37話(マイク)

ジェイクって人は、足に大きな怪我をしていた。 狭い個室の病室で、いつも虚に外を眺めている。 目が大きく個性的な顔立ち。優しそうな目をした人だなと思った。 戦場から戻ったばかりらしくストレスからコミュニケーションや睡眠に問題があるらしい。 俺は毎週月曜日、病院や福祉施設、ホームレスの人達向けのシェルターなんかに先終わりの花を寄付している。 ここセントジョン•メディカルセンター病院も毎週月曜日に来ている。 ジェイクの担当ナースのデイジーに初めて声を掛けられたのは先月だ。  「すごく落ち込んでる患者さんがいるのよ。このお花、その方の病室にも飾っていいかしら?」そう言われて気になって、ジェイクの病室にも顔を出すようになった。 「こんにちは!今日はラナンキュラスを持って来たよ」 「とても魅力的」 「え?」 「ラナンキュラスの花言葉」 ガタイが良く無愛想なジェイク。本当の彼はとても魅力的なんだろうな。俺が病室に花を持って来るようになると、少しずつ心を開いてくれた。 今では花の名前や花言葉を毎日調べているらしい。 「正解!でも今日のラナンキュラスは赤だから「あなたは魅力に満ちている」かな」 「色でも花言葉が変わるのか、面倒くさいな」 「あはは」 最初は花なんか興味無いって言ってたのに、最近では毎週、俺に覚えた花の名前や花言葉を披露してくれる。 赤のラナンキュラスは色が映える様にグリーンはドラセナを合わせて花瓶に行ける。 「また来週持ってくるよ」 「もう行くのか?」 珍しく手首を掴まれて引き留められた。 「いや、別に聞いただけだ」 「俺、この後は別に何も予定無いから話し相手にでもなろうか?」 「、、、、少しここに居てくれ。昨日も一昨日も花が無かったから眠れなかった」 「え?」 「花の良い匂いがするとよく眠れる」 「そっか」 「お前からもいつも花の匂いがする、、、」 「あはは、花屋だからね」 「この匂い、、、睡眠薬よりも効く」 ベッドサイドの椅子を引き寄せて座るともうジェイクの目は半分閉じかけている。 「しばらく居るよ」 そう言うと安心した顔をした。 ジェイクは俺の手首を掴んだまま眠りに落ちた。

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