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第39話(カイト)
全然寝れなかった。
俺は広いベッドでグダグダと転がってる。
昨夜、トムの事をネットで色々調べてしまったからだ。
トムの事、好きだけど、、、
これ以上、深入りしていいのか、、、
付き合い始めてから、ずっと悩んでいる。
もしかしたら、トムと壁を作ってるのは俺自身かもしれない。
トムと刹那的に愛し合って来たその他大勢になりたくない。
「俺、結構やばいな」
今までの誰よりも愛されたい。
「重すぎるだろ」
思ってた以上に重症だ。
だから怖かったのかもしれない。
セックスしてしまえば、過去の恋人達と同じ様にいずれ自分も過去の恋人としてトムの思い出になって消え去る気がしていた。
「やりたいのか、やりたくないのかも分かんねー」
トムは恋愛初心者の俺には荷が重すぎる。
厄介な相手を好きになってしまった。
年上で
男で
大富豪で
有名人。
でも俺が好きになったトムは、、、
いっつもオシャレで格好つけてるくせに俺を必死に口説いてきたり、恋愛百戦錬磨のくせに緊張しながら告白してくる様な普通の男の部分だ。
面白くて、ちょっと意地悪だったり、偉そうな話し方するくせに、めちゃくちゃ優しかったり。
「やっぱ、ネット検索すんのはやめよ」
画面の中に居るトムじゃなくて、目の前に存在するあの人とちゃんと向き合わないと。
ベッドからはまだトムの残り香がする。
それだけでドキドキしてしまう。
今日は大学は休み。明日からはニューヨーク支部の研修だ。
午後からはイチと研修に必要なものを買いに出掛ける予定。
それから、トムにクリスマスプレゼントも買う予定。
大金持ちに何を買えば良いのか分からないけど、喜んでくれるかな?
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