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その後(4)

   *  いったいどれほどの時間、触れ合っていたのかは分からない。  日はすでに昇っている。上質なシーツはあらゆる液体で濡れているし、アルバラはすでに声が枯れているようだった。 「生きてるか」  その問いかけに、ルークの上でへたりこんでいたアルバラは「ぁい」とかすれた声で返事をする。 「……風呂に行こう」  アルバラを抱きかかえるように起き上がると、ルークはひとまず自身のモノをアルバラから引き抜いた。ナカからは大量に白濁が溢れる。何度出したのかはすでに曖昧だ。  ルーク自身、自分には性欲がないと思っていたのだが……それはまったく間違った認識だったらしい。あるいは今までの反動で、今回爆発してしまったのか。  アルバラを横抱きにして、ルークはひとまず浴室へ向かう。  ここはルークの寝室で、この一室には風呂も完備されている。誰に会うこともなく風呂に入ると、すでに湯が張られていた。 「先にかき出すぞ」  アルバラを横向きに抱いたまま、自身の膝の上に下ろす。そうして脚を開かせて、白濁の溢れる蕾に指を挿れた。 「あっ、ルークさん……もう……」 「分かっている」  なるべく好いところは避けてかき出しているのだが、快楽の残るアルバラは敏感で、何をしても気持ちが良いのだろう。ナカを擦るだけでビクビクと震えている。  真っ白な肌がピンクに染まっていた。恍惚とした表情がルークに向けられて、誘うように色気を放つ。 「はー……。アル……」  触れると、さらに愛しくなった。どうしてこれまでこの感情に気付かなかったのか不思議なほどである。許してやろうと思っていたが、やはりユーリウスを殺してやりたいと思うくらいには、アルバラへの気持ちが止められない。  軽く触れるだけのキスを落とすと、アルバラも目を閉じて受け入れた。あられもなく脚を開き、体を震わせて、甘い声を出す。そんな姿にまたしても欲を思い出したのだが、さすがにアルバラが限界なために必死に理性で抑え込んだ。  すべてをかき出してアルバラを抱き上げると、二人はそのまま湯に浸かる。二人で入ってもまだまだ余裕のある広い浴曹だ。 「ふふ、気持ちいいですね、ルークさん」 「そうだな」  アルバラはずっと幸せそうに微笑んでいたけれど、体に力は入らないのかぐったりとしていた。  そのため、動けないアルバラの世話をしたのは当然ルークだ。誰かに甲斐甲斐しくそんなことをしてやったことなんて、ルークの人生において初めてのことである。しかし、たとえ黒服がその場にいようともその役目は譲らなかっただろう。  体を隅々まで拭いてもらって、服まで着せてもらった。至れり尽くせりな中、ふたたび横抱きにされたアルバラは、ようやくベッドに戻るのかと安堵したのだが……。  ルークの行き先はベッドではなく、なぜか部屋を出てしまう。 「……ルークさん? どこに……」  すると、廊下に出てすぐ、遠くから軽やかな足音とともに、白いものが駆けてくるのが見えた。  近づいてくると何かがはっきりと分かる。  それは、真っ白な大型犬だった。 「わあ! なに、なんですか!」 「こらユノ。はしゃぐな」  狙いはルークに抱き上げられたアルバラなのか、近くにまでやってきた犬はぴょんぴょんとアルバラに飛びかかる。  足を止めないルークについていきながら、なんともガッツのある行動だ。 「あっ……白い犬……」 「なんだ、知っているのか」  アルバラが、問いかけるようにルークを見上げた。ルークは幾分穏やかな瞳をしている。 「ユノが居なくなって一人になっていたから、うちに連れてきたんだ」 「……唯一のお友達だって言ってました。……そっか。ここに居たんですね」 「シスコンだと笑うなよ」  それは、名前を「ユノ」としていることに対して言っているのだろうか。  アルバラが思わず吹き出すと、ルークは不機嫌そうに眉を寄せた。  ——そういえば以前に一度、ルークは寝言で「ユノ」を呼んでいた。やけに構うな、という言葉も考えれば、きっとあれはこの犬のことを言っていたのだろう。  犬は飛びつくのをやめて、ずっとアルバラを見上げながらルークの隣を歩いていた。

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