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男の子を好きになったら・・・ダメなのかな⑧

『キスしたこと、ある?』  こういう話は、たぶん、男女問わずに交わされるものなのでしょうね。 「うん、あるよ」  まだ私は中学一年生でしたが、キスの経験がありました。相手は、親戚の女の子だったのですが。 「どんな感じだった?」 「ん-、どうだろ、やわらかい感じかなぁ」  もちろん私が経験していたのは子供同士のお遊びのキスですから、ただ唇を合わせるだけの、フレンチなものでしかありません。  だから、そう答えるしかなかったのですが……  ふとそこで、二人の会話が止まりました。  さわりあいっこに夢中だったから……というのもそうなのでしょうが、その時点で私には、「彼とのそれ以上の行為」には意識が向いていませんでした。やはり「子供」だったのでしょう。でも、ツカサは違っていたようです。 「しても、いい?」  その意味を理解するのに、少し時間がかかったのを覚えています。  どれだけお互いの『大切なもの』を触りあいしたところで、それは『体の繋がり』ではありません。  でも、キスは……  相手は男の子。もちろん、男の子とはそんな経験はありません。でも、全然嫌だとは思わなくて、いや、それどころか、私はその言葉を聞いて、心臓が更に高鳴るのを感じました。  でも一方で、私は頭のどこかで、「俺でいいのかな」とも思っていました。どこまでも、ツカサに嫌われたくないということが一番だったのです。 「したい?」 「うん……」  ツカサの返事に、私は布団を少しだけ持ち上げ、外の薄明かりを頼りに、ツカサを見ました。  ツカサのかわいらしさと、こどもっぽさ、そしてその端正な顔立ちに、私は自分を抑えきれなくなりました。  ツカサに顔を寄せると、ツカサも唇を突き出してきて、そのまま二人の唇がゆっくりと、合わさったのです。  とても艶があって、そして柔らかい唇でした。

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